読み聞かせ仲間が、「好きなことを追い求める喜び」というテーマでブックトークをした時に紹介した一冊です。
まず表紙を裏表紙をつなげて広げた時のインパクトの強さが突出しています。
綱の上を歩く足のアップと、遥か下に小さく見える高速道路や川の景色で、「綱渡りの男」とは、とんでもなく型破りな男なのではないかと、内容に入る前に、読者に想像させるのです。
内容も、とてつもないことをやっているのに、その発端が純粋に「綱渡りが好き」という気持ちなので、何だか爽やかな感じすらするのです。
自分のやりたいことをしている最中の魂の自由なこと、そしてやり遂げた時の清々しい気持ち。そんなものがひしひしと伝わってきます。
舞台は、今はないニューヨークのツインタワービル。夢のように消え去ってしまったこのシンボルタワーとそこで行われた絶対にありえないような綱渡り。この二つの要素が上手く溶け合って、しばし魔法にかかっていたような錯覚すらしてしまうような不思議な読後感が残ります。