おじいちゃんと孫娘の交流がさまざまな場面と会話で描かれています。
これは記憶の断片なのかもしれません。しっとりと、じーんと、こころに残るなにかがあります。
おじいちゃんは孫娘に根気強くつきあっていますが、ときには「おじいちゃんにむかって そういうくちの ききかたは ないだろ」と口をとんがらせたりします。
孫娘はおじいちゃんが子どもだった頃の話を聞いて「おじいちゃんも あかちゃんだったこと あるの?」
とても好きな場面とことばです。
おじいちゃんの大きな手と足元の描写が素晴らしく、おじいちゃんの生きてきた歳月を感じさせます。
おじいちゃんがいつも腰掛けていた緑色のいす。いっしょに腰掛けたこともあるいす。おじいちゃんがいなくなったそのいすをみつめる、大きくなった孫娘。
ことばはありません。
15年前の夏に亡くなった曽祖父のことを思い出しました。お盆の頃いつも行っていた母の実家。「おぉ来たか」と迎えてくれた笑顔。その口調とたたずまいが今も目に焼きついています。
何度もめくり、ながめています。逸品です。