児童書にもエンタメの波が押し寄せるなか、芯を持ってきちんと描かれた一冊でした。
縄文時代にタイムスリップという珍しい設定に惹かれてチョイス。
だいぶ下調べされているようですが、物語に組み込まれていたので全然気にならず。
またいろいろ大人の考え方も詰まっていたかもしれないが、子供たちの(現代での)生活ぶりや家庭、人物像がしっかり描かれていたために説教くささや唐突さを感じず自然に堕ちていった。
それは私が実際に子供時代から考えてきたことであり、現代の甘やかされた子には珍しいかもしれないが、ごくごく普通に納得できる成長でもあった。
おもしろかったのが、とにかく3人が逞しいこと。
普段から畑仕事を手伝ったり山や川と大人から教えられているから。これは田舎生活を知る者なら日常のことである。
また生きるために狩ること、生きるための性差など、縄文時代で学んだことも多かったようで、この3人と同じ12歳前後でこんな本を読んでくれる子供はどれだけいるだろうか。読んで欲しい。そしてお金を払ってレジャーで体験するのではなく、日常としての自然に身を置いて欲しいと願う。
ところで節婆を放って来てはだめじゃん。ばあさんが何を言おうが、とてつもなく満足しているわけでない表現があったのだから、努力はしてあげようよ。
ま、そんなことで、命はこうやって続いているんだね。マララさんのおかげで外国での女の子の立場について有名になったが、日本の昔もこんなだったよね。
作者の他作品を読んでみたくなりました。