消防自動車の出てくる絵本は、大まかに
@小さくても役に立つ=子どもが自己投影しやすいもの
(「しょうぼうじどうしゃじぷた」「それいけはしごしゃせいのびくん」「ちいさなしょうぼうじどうしゃウータくん」など)
A出動→鎮火→消防署へ帰るまでの流れを追ったもの
(「かじだしゅつどう」「ちいさいしょうぼうじどうしゃ」など)
のどちらかに二分されると思っているのですが、
この絵本は、もう少し長いお話を楽しめるようになった、
消防車好きの子どもたちにうってつけです。
主人公はいたずら好きの猫、ピックルズ。
毎日が退屈で、近所の猫に悪さするしか能がないけれど、
いつかは素敵なことをしてみたいと思っている野良猫が、
高い木から助けてくれた消防士のジョーになついて、消防署に住み込むように。
そこで初めて、やりたいことを見つけ、
地元の猫に頼られる立派なしょうぼうねこへと成長していきます。
ピックルズを見守る近所のおばさんや、消防士さんがとても魅力的です。
絵も訳もとても洒落ています。
主人公が「車」ではなく、「ひと(猫)」で、
物語が出動一連の「流れ」ではなく、主人公のドラマになっている点が、
聞き手にとっても読み手にとっても新鮮です。
ただ、短編3つ、60ページほどあるにもかかわらず、
4歳と2歳の子どもが夢中で、一気に読まされるので、
読み手にとっては長くて大変なのが難点かもしれません(笑)