2009年刊行。児童文学作家10人が、それぞれ1話ずつ怪談を提供。
一度はまると抜け出せない、逃げられない。
ちょっとした気のゆるみから、やってはいけないことをやってしまい、取り返しのつかない結末を迎えるような話が多かった。理不尽な展開でどんどん恐ろしい目に合う話もあれば、身勝手な行為が招いた自業自得な話もあった。いずれにせよ、突然物語が終わってしまい、その後どうなったか気になる。
怪談を語るタレントによれば、怪談を取材していくと、「断片的」なものが多いという。1話完結した話で伝わっているものは少ないので、各地で聞いた断片的な話をつなぎ合わせて、1つの物語に仕上げていくという。原因となった出来事と、今起きている怪奇現象。接点がある話もあれば、全く意味不明で怪奇現象だけが突発的に起きる場合もあるとか。
この短編集には、因果関係がはっきりしている話もあれば、突発的な怪奇談もある。原因がはっきりしていると読後に納得感があり、物語がしっかり終わったという安心感が持てる。
意味不明の突発的な怪奇談は通り魔にあったような印象。理由や結末(その後の展開)を求めて、意外と長く記憶にとどまったりする。どちらも捨てがたい。
表題になっている「悪夢の暴走電車」は、よく電車を利用するので妙に生々しく感じてしまう。こんな話ありそうもないが、終電間近になるとこんな話もありそうな気がしてしまう。