ヨーロッパ諸国の伝説などを中心に15話。
1970-74年刊行の「少年少女・類別/民話と伝説 全34巻」から、怖ろしい話を選び、改定・改装。1989年改版15刷、2006年改訂版1刷。
オペラや文学作品、映画やゲームなどで、目にしたことがある話がいくつかあった。
「ファウスト」(ゲーテの作品、手塚治虫の漫画にもなった)
「ドナウ川の水の精」(音楽や民話などで、聞いたことがあった)
「魔弾の射手」(タイトルだけ知っていた)
それらの断片的な言葉が、この本のお話を読むことで、しっかりした物語として理解できたのが嬉しい。
子ども向けに要約・読みやすく加工してあると思うが、なかなか読み応えのある恐ろしい話だ。
このシリーズは、同じテーマで「世界の〜」「日本の〜」と別々に特集を組んでいるため、通読していくと、地域や歴史が違うことや、人々の考え方や暮らし方の違いが感じられる。
日本の「恐ろしい話」は感情に訴えてくるような話が多かったが、世界の方は、見た目の恐ろしさや、契約違反の恐ろしさなど、生々しいものが多かった。
日本の幽霊の映画と、欧米のスプラッタ系映画の違いを思わせる。「恐ろしい」の基準が違うのが印象に残った。
どの話も1話完結・読み切りで、文字も大きく、雰囲気のある挿絵も楽しめるので、気軽に読めるのも魅力。
おとなが読んでも楽しめるのが嬉しいシリーズだ。