戦争で「私」の家は焼けてしまったけれど、田舎に預けてあったおひな様だけは助かりました。でも、食べ物がなくて、小さい私はおなかをすかして泣いてばかり。ある日、おかあさんが白いご飯をどっさり食べさせてくれて嬉しかったけれど、それはおひな様と取り替えたものだったのです。
戦争や空襲の細かい描写はありませんが、幼い子供の目から見た戦争が映し出されていて、平和への願いを静かに訴えるお話です。
娘のために、声をかみころし肩をふるわせて泣きながらおひな様を折るおかあさんの背中が切ないです。
お話の背景が分かるようになるのは小学生ぐらいからかもしれませんが、短いお話なので小さい子にも何かは伝わるはず。豊かで平和なこの時代だからこそ、ぜひ読んであげてください。