鬼の話というと「島ひきおに」「おにのこづな」「泣いた赤鬼」など悲しかったり切なかったりするお話が多いので、これもそんな話かもと思いながら読んだのですが、違っていました。
とがくし山から来た鬼が、おしげばばさに、小さな鬼の子を託します。13歳になったら、追い出してくれと付け加えます。
村人もおしげばばさも、鬼の子ダボラにを好意的に育てます。
13歳になって急に大きくなったダボラ。ばばさと別れるのに、鬼ごっこをしながら別れて行くのが、鬼ながらかわいらしく思いました。
ダボラは、悪い鬼として捕らえられそうになります。この辺でやっぱり鬼と人間は分かり合えなくて、辛い結末?と想像しましたが、誰も傷つくことのない平和的な解決には、拍手を送りたいほどでした。
創作民話絵本シリーズなのだそうですが、鬼が出てきてもほのぼのとした話もあるのだと、とても印象に残りました。読後感が爽やかで良かったです。
佐藤さとる作品をよく手がけている村上勉の絵なので、鬼といってもどこかユーモラスでかわいらしく思えました。
高橋忠治の作品は初めてでしたが、他の作品も読んでみたくなりました。