高学年の子にノンフィクションを勧めてみたいと思い、読んでみました。
このノンフィクションを書いたのは、三枝三七子さんは、この本を書くまでは水俣病についてよく知らない方だったのですが、水俣病のことを本にしてほしいと言われ、この本を書くことになりました。
水俣病のことをよく知らない自分が、水俣病のことを語っていいのか・・・という筆者の葛藤と、原田先生の発言がマッチしており、原田先生の医師としての活動も素晴らしいのですが、筆者の伝えていく姿勢が、読み手の立場と重なり、強く共感できました。また、原田先生の人柄もとてもよく伝わってきます。
水俣病の名前は四台公害病として知っているけれど、患者や医師の目線で書かれた本を読んだことがなかったので、今もこんな風に苦しんでいる人がいること、つらい思いをするのは、いつも弱い人であることをズバッと指摘しているところは、東日本大震災と重なるものがありました。
子供向けに書かれた本で、こうした本音をズバッと書いてくれる本は嬉しいものです。学校で習ったことや、大人が言っていることが正しいとは限らないことを子供たちに知ってほしいので・・・
この本は、小学校高学年だけでなく、中学生にも読んでほしいです。
本の副題を見ると、読むのを躊躇してしまいそうですが、筆者の絵のあたたかさが、福田先生とマッチしています。挿絵が意外と多いのもいいです。カラーなのも素敵ですね!
親子で読んで、話し合ってみるのも素敵です。クラスのみんなで読んで、話し合うのもいいですね。読んでいて、すごく考えさせられます。
お医者さんを目指す人には、老若男女問わずに読んでほしい一冊です。