おばけのケーキ屋さんは、夜から始まります。
だって、おばけは、お日様にあたると消えてしまうから…
おばけは人を驚かすもの、でもこのケーキ屋さんは、ケーキを食べてもらって、その美味しさに驚かせてしまうというから、その腕は素晴らしいものなんです。
ある日、ちょっと不機嫌な顔をした女の子が、お店にやってきました。ケーキ屋さんは、驚かしてあげようと、一生懸命ケーキを作って食べさせたのですが、女の子の答えは、
「パパと同じくらいおいしい。」
と言って、驚いてくれませんでした。
それから、ケーキ屋さんと女の子のこの長い長い付き合いが始まります。どんどん変わっていく女の子の表情の変化を見逃してはいけません。そして、女の子の成長も…
女の子がそんなことを言った意味がわかった時、じんわりと胸の奥が熱くなり、女の子と、ケーキ屋さんの幸せを願わずにはいられませんでした。