森絵都さんの「にんきものの本」第2作目です。
今度の主人公は、前作で主人公けいたくんの調査の対象となっていた人気者、こまつくんです。けいたくんも重要な脇役で登場します。
こまつくんは、人もうらやむ人気者で、男子からも女子からも先生からも絶大なる信頼を得ています。でも、そんなこまつくんにも悩みがあるのです。
この こまつくんの悩みが、平凡な子にはなんてことないのに、崇められているような人気者にとっては切実なことであるのが面白いのです。なるほど、人気者もつらいのねということが伝わってきます。
普通、クラスのアイドルのキャラクター設定は、ちょっと鼻持ちならなかったりするのですが、このこまつくんは、とても素直な好少年(?)なので、読者も「贅沢な悩みよね!」などと思わず、「こまつくん、頑張れ!」と応援したくなってしまいます。
人気者にあこがれた普通の少女であった私や母の跡を継いでいる娘にとっては、新鮮な人気者の心の内に、妙に親近感を持ってしまったのでした。