私は、この本の文章のテンポのよさと、擬音語が大好きです。
そんなに変わった擬音語はありません。でも、場面場面的確な擬音語によって、『さるかに』の世界がリアルに目の前に展開してゆきます。
サルに青柿をぶつけられて死んでしまったおかあさんからは
「そのはらから じゅくじゅくと こがにが うまれてきたそうな。なんぼでも うまれてきたそうな。」
そして、子ガに達がサルに復讐をするときは
「すると まちかまえていた こがにどもが おけのところから、
でるわ でるわ、 がしゃがしゃ がしゃがしゃ きりもなく はいあがってきて、さるのからだに とりついたって。」
もうひとつ、この本は絵もすばらしいです。
背景などはあまり無く、版画絵(なのかな?)なのですが、どの場面も登場人物が個性的で表情が豊かです。
6歳の娘はこの本が大好きで、特に自分で読むより私が読んだほうがテンポがよくなり面白いらしく、「読んで。読んで。」と持ってきます。
ただ、4歳の息子は、『さるかに』の世界があまりにリアルに頭の中に広がったらしく、すごく怖がり、表紙を見るだけで半泣きになるようになってしまいました。
ので、評価は「自信を持っておすすめしたい」にしましたが、ちいさい子にはどうかな…