古本屋で、いとうひろしさんのお作ということで、買ってみました。
まず、ぱらりと開いてみて、そこにあった言葉。
このひとは、なんでこんなにないてんだろう。
あのひとは、なんであんなにおこってんだろう。
ひとのきもちはよくわからないから、おさるのきもちならとおもったんだ。
だけどやっぱり、てごわいてごわい。
…なんだかこの本、一筋縄ではいかない予感。
読んでみて、ますますそう思いました。
島に住んでいるおさる。
ある日、「おさるのおうさま」が、やってきた。
でも、彼の言うことは分からない。
彼が何を望んでいるのか分からない。
逃げ出したおさる。でも、妹と遊んでいて、妹もいきなり「おうさま」みたいになっちゃった。
おかあさんがやってきて、おっぱいをあげたらぐっすりねちゃったけど。
おうさまみたいな妹を寝かしつけることが出来たお母さんなら、
「おさるのおうさま」の気持ちが分かるのかもしれない。
でも、おうさまは、波にさらわれて、どこかへ消えてしまった…
自分ではない、他者の気持ちについて、思いをはせるおさる。
このおさるに、自分を投影させる人、多いのではないでしょうか。
「ひとの気持ち」って難しい。
でも、おうさまの気持ちを思い、どうすればよかったのかな、と考えるおさるを見ていると、
これから、どんな人に出会っても、なるべくその人の気持ちに寄り添えるようになれればな、と思わずにはいられなくなりました。
子供の本って、本当に侮れない…。
しかし、この本の、最後の言葉も面白いです。
ひとのきもちをわかってあげるのは
とてもむずかしいことですね。
きっとぼくも、なんだこいつは、とおもわれているにちがいありません。
あはは。いとうひろしさん、あなたは本当に面白い方ですね。
いっぺんで、好きになりました。