誰もが一度はしたことがあるのではないかしら、「いない いない ばあ」。
したことがなくても、してもらったことはきっとあるにちがいない、「いない いない ばあ」。といっても、きっと覚えていないだろうけど。
でも、あのシンプルなアクションがどうして赤ちゃんにうけるのだろうか。
「いない いない」で探してみる。
「ばあ」で現れ、びっくりさせられる。
驚いて泣く子がいれば、あわてて「ごめんごめん」と謝り、笑う子がいれば「ほら、笑ったよ」と褒める。
単純だけど、なんとも微笑ましい。
そんな「いない いない ばあ」を絵本にしてしまった松谷みよ子さんのセンスがいい。
松谷さんの文にかわいい絵を添えた瀬川康夫さんにも感服だ。
そして、「いない いない」って見せておいて、「ばあ」とページを変えた編集もいい。
そういうたくさんの「いい」が、1967年に発行以来、版に版を重ねて、2020年には国内で発行されている絵本で初めて700万部になったのだと思う。
もちろん、「いない いない ばあ」って遊んでもらった赤ちゃんは、今では「いない いない ばあ」って遊んでいる大人になっているだろう。
そして、この絵本を見て「懐かしい」と赤ちゃんの頃を思い出すことがあるかもしれない、懐かしい人たちの顔とともに。