2020年の課題図書(小学校低学年の部)に選ばれた中川ひろたかさんの『おれ、よびだしになる』という絵本の絵を担当しているのが、この絵本の作者でもある石川えりこさん。
石川さんは1955年に福岡県で生まれ、小さい時から絵ばかり描いていたそうです。
幼少期の体験をもとにして描いたこの作品が実質的な絵本デビュー作です。
この作品で2015年には第46回講談社出版文化絵本賞を授賞したり、台湾でも賞をもらったりしています。
この絵本に出てくる「ボタ山」は、石炭を掘り出す時に出た石や土のことを「ボタ」といい、それが山になっていることです。
炭鉱の町ならではの風景です。
その「ボタ山」では石炭のくずも混じっていて、貧しい家では山からそのくずを取っていたそうです。
ここでは当時石川さんが住んでいた嘉麻というところにあった山野炭鉱でのガス爆発のことも描かれています。
昭和40年6月に起こった事故で、237人の炭鉱夫の方が犠牲になりました。
絵本ではなかなか友だちのできなかった主人公のえりこちゃんにできた唯一の友だちけいこちゃんの家族も事故に巻き込まれます。
けいこちゃん一家は事故のあと引っ越していきます。
決して豊かではなかった昭和30年代、40年代。
けれど、子供たちはのびのびしていたのもあの時代だったと思います。
友だちと遊んで、空まで飛んでいきそうなくらい幸せだったなんて、現代の子供たちは知っているのでしょうか。
幸せと豊かさはまた別のこと。
それを知るのも大切だと思います。