ディズニープリンセス じぶんもまわりもしあわせにする おやくそくブック(Gakken)
SNSで話題!すてきな大人になるために大切にしたい「おやくそく」を紹介する絵本。
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インタビュー
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2024.06.13
6月に入り、ジメジメとした梅雨の到来、猛暑を思わせる夏の気配を感じている人も多いのではないでしょうか?
そんな時は読むとふくふくにこにこになる12人のかわいい「おふくさん」が活躍する「おふくさん」シリーズがおすすめです。最新作『おふくさんのきもだめし』は暑ーい夏をふくふく乗り切るのにピッタリ。おふくさんらしいユーモアたっぷりの絵本です。「おふくさん」と「きもだめし」がどのようにして出会ったのか、そして毎回登場するおにが、今回はどう活躍するのか、作者の服部美法さんにお話をうかがいました。
出版社からの内容紹介
みんなで仲良く暮らすおふくさんたちのところに「あつい、あつい、このあつさ、なんとかしろ―!」と鬼さんがやってきて…。
さてさて、この暑さをおふくさんたちはどうやって涼しくするのでしょう?ユーモアたっぷりで読み聞かせにもおススメの絵本
この人にインタビューしました
三重県生まれ。大杉華水氏に師事し、伊勢型紙を学ぶ。子どもの本専門店「メリーゴーランド」(三重県 四日市市)主宰の「絵本塾」に参加。著書に『おふくさん』シリーズ(大日本図書)、『もりのちいさなはいしゃさん』シリーズ(文・上平川侑里/山画廊)、『ねむたくないせんにん』(ナカオマサトシ文/佼成出版社)、『わがしやパンダ』(香桃もこ作/福音館書店)などがある。
───2015年に誕生した「おふくさん」も今回が5作目となりました。『おふくさんのきもだめし』の季節は夏! これからの季節にピッタリの絵本ですね。おふくさんで「きもだめし」を取り上げようと思った経緯を教えてください。
1冊目『おふくさん』で冬から春、2冊目『おふくさんのおふくわけ』で秋、3冊目『おふくさんのてるてるぼうず』で梅雨を描き、4冊目の『おふくさんの12かげつ』では、1年の様子を描きました。 なので、次は夏のおはなしを描きたいと思いました。 その時、頭に浮かんだのは、子どもの頃、暗いところで懐中電灯を顔の下から照らして人を怖がらせたり、笑わせたりして遊んでいたことでした。
これをおふくさんたちのぷくぷくの顔で試したら可愛くて笑っちゃうなあ〜とニヤリとしました。 その思いつきがきっかけで「きもだめし」のおはなしが出来ていきました。
───夏のおはなしを考える中で「きもだめし」のアイデアが出てきたのですね。ほかに夏で連想したアイデアはありましたか?
いつもは、おはなしがなかなか流れていかなくて、ストーリーも二転三転するのですが、今回は、最初から「きもだめし」の案がするっと思いついて、他の案はほとんど考えませんでした。
───「おふくさん」シリーズでは、いつも無理難題をおふくさんに言いにくる鬼。今回の『おふくさんのきもだめし』でも「あつい、あつい! この あつさ、なんとかしろー」と言ってきます。でも、今回ばかりは鬼に賛同したくなってしまうほど、昨今の夏の暑さは堪えますね……。服部さんは、夏は好きですか? それとも鬼のように「このあつさ、なんとかしろー」と思う方ですか?
夏は好きです。夏は子どもの時から楽しいことがいっぱいのイメージです。古い家で育ったので、障子を夏障子に入れ替えると、夏が来た〜とワクワクしました。
あと、実家の近くの神社で毎年夏に行われる「てんのうさん」というお祭りにワクワクしました。お祭りが近づくと毎晩、笛や太鼓を練習する音が聞こえてきて、獅子などが舞いの練習を始めます。お祭りの当日はもちろんですが、その日を迎えるまでの期間もお祭りに向けて盛り上がっていく町の様子やその雰囲気も好きでした。
───暑さを和らげるために「きもだめし」を提案するおふくさん。きもだめしというととても怖いものを想像してしまいますが、そこはおふくさんですから、小さい子も笑ってしまうような展開がとてもかわいいですね。「きもだめし」では、「ばけぎつね」や「おはぐろべったり」が登場しますが、今回、妖怪について、詳しく調べましたか?
私は、あまり妖怪にくわしくないので「どんな妖怪がこのおはなしにぴったりくるかな?」と本やネットで調べたりしました。調べていくうちに、おふくさんたちもあまり妖怪に詳しくないような気がして、結局、分かりやすいものを選びました。そして、そんなに怖くないもの。鬼より怖くなってしまったら笑って終われそうにありませんし…(笑)。後は、おふくさんがおふくさんらしく、楽しんで変身できるのがいいなあと思いました。
ちなみに「ばけぎつね」は、折り紙で三角の耳を作ってヘアピンで留めれば、おふくさんたちのような「ばけぎつね」になれるように考えました。
───妖怪のことを調べる中で、服部さんが好きだなと思った妖怪はいましたか?
今回、妖怪を調べていて、いそうなものばかりで面白いなあと思いました。中でも特にいいなあと思ったのは「はらだし」です。夜中に現れ、酒をすすめると喜んで飲み、こっけいな踊りをはじめるそうで、その踊りを見た人には良いことがあると言われているのだとか。
他の妖怪のように人間を困らせることはせず、陽気な性格で悲しんでいる人間を慰めることもあるようで、悩んでいる人間が酒でもてなすと、腹踊りをしてその悩みを消し去って、希望をわかせる…そんな妖怪のようです。何ともめでたい妖怪だなあと笑えてきましたが、おふくさんとキャラクターが似ている気がして今回の絵本に登場とはなりませんでした。
───おふくさんとはらだしの掛け合い、見てみたかったです。妖怪の真似をするおふくさんの姿を見て、だんだん怖くなってくる鬼の姿がとても笑いを誘いますね。怖がる鬼の姿を描くのは楽しかったですか?
大きな鬼を描くのは、楽しいし気持ちがいいですね。あまり頭で考えずに感覚的に手を大きく動かすようにしています。
偶然の滲みや擦れが表情を作ってくれるので、絵の具が乾くまで どんな仕上がりになるのか自分でもはっきりとは分かりません。乾いたのを見て「イメージと違う」と思ったら描き直しをする…という大まかな感じです。
───『おふくさんのきもだめし』を描いているとき、特に難しかったところはどこですか?
背景の色です。前作までは、顔がアップになるページの背景が白抜きで塗らなくて良かったのですが、今回は、暗闇の設定だったので、初めて背景色を塗ることになりました。背景をどんな色合いにして、絵本全体の色の流れをどう作って行こうかと長い間、頭の中で考えて決めきれずにいました。でも、これも鬼を描くときと一緒でまずは、感覚的に塗ってみよう〜と、頭で考えるのをやめて手を動かすようにしたら、楽しんで進めていけました。
───特に好きな場面、描いていて印象に残っている所を教えてください。
「あずき!?まめじゃないか!」の鬼のアップの場面です。この絵の背景を描いた時、「色は、こうしよう」とか「形は、こうあるべき」みたいな意図のようなものは全くなくて、ただ感覚だけを頼りに筆を動かしていきました。
いつもは、あれこれ考えすぎて最初に思っていたイメージ通りにしたくてコテコテやってしまうのですが、これは描いていて気持ちが良いところで止めて仕上がったもの。今までにない感覚でした。
───『おふくさんの12かげつ』では、「みなづきさん」と「ながつきさん」が帰ってきて、おふくさんが12人登場しますが、それ以外のシリーズでは基本的に出てくるおふくさんは10人ですね。
『おふくさんのきもだめし』では「むつきさん」と「かんなづきさん」がいませんね。2人はどこに行っているのでしょうか?
絵本に出て来ない2人はどこかへ旅に出ています。ただ具体的なことは読んでくださる方が自由に考えてくれたらいいなあ…と思っています。2人一緒に旅をしているのか、1人ずつなのか? 何をしにいっているのか? 遠くに行っているのか、はたまた誰かのお宅にお邪魔しているか?
「おふくさん」シリーズを作って行くうちに、読んでくださる方にいろいろと想像してもらえる「隙間」がうまく作れたらと考えるようになりました。これも読んでくださる方が自由に想像力で補ってくださる「隙間」のひとつになっていたらいいなと思っています。
───12人のおふくさんの中で、服部さんが自分に一番似ているなと思うおふくさんはいますか?
私は、「おふくさん」のようになれたらいいなーといつも思っていますが、まだまだ「おふくさん」の域には達していません。なので似ているなあ〜のおふくさんも、まだいないです。
───毎回、奥付にことわざが載っているのも「おふくさん」の特徴ですね。『おふくさんのきもだめし』では「災い転じて福となす」。このことわざは早い段階から決まっていたのでしょうか?
はい。割と早い段階から決めていました。いろんな辛いニュースがあり、「災い転じて福となす」という言葉で辛い気持ちを何とか切り替えてきた…そんな日本人の知恵は、もしかしたら今の誰かの何かの役に立つのかもしれないと思いました。 そこで、この着地点を決めてからおはなし作りをはじめました。
───服部さんが最近「災い転じて福となす!」と思ったことはありましたか?
私は、幸い、災いに遭ったことがありません。私の体験の中で「災い転じて福となす」で連想するものは本当にちっぽけで災いには、ほど遠いものですが、最初はマイナスにしか思えなかったことが、考え方を変えることでプラスに思えるようになったというものがいくつかあります。
例えば、私は、夫の転勤でこれまでに8回、引っ越しをしました。引っ越しが決まると、いろんなことが面倒に思えたり、折角出来た友だちと別れるのが寂しかったりしてマイナスの気持ちになりました。でも、転勤を何度か経験しているうちに「転勤?おもしろいやん」と口に出して言ってみたのです。すると、知らない町に住むことが出来、いろんな人との出会いもあり、美味しいものも食べ歩き出来…と、いいことに目が向いていきました。今、各地に友だちがいるのも転勤のお陰で得た「福」だと思っています。
更に言うと「おふくさん」の1作目が出たのも夫の東京転勤で得た「福」です。編集者の當田さんにすぐにラフを見てもらえる距離に、あのタイミングで引っ越せていなかったら「おふくさん」は出来ていなかったんじゃないかと思います。
───最後に、絵本ナビユーザーのみなさんへ、『おふくさんのきもだめし』をどのように楽しんでほしいかメッセージをお願いします。
笑って楽しんでいただけたら嬉しいです。
───おふくさんと一緒に、笑って涼しくなりながら夏を乗り越えていきたいと思います。楽しいお話をありがとうございました。
文・編集/木村春子(絵本ナビ)