うごく! しゃべる! ぬりえーしょん 海のいきもの (小学館集英社プロダクション)
お子さまの塗ったぬりえが、アニメーションになる!フランス生まれの画期的なぬりえシリーズ!
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インタビュー
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2021.01.21
絵本作家・あいはらひろゆきさんが立ち上げた出版社「サニーサイドブックス」から、新しい絵本が出版されました。『あっぷっぷのぷ〜』は、子どもたちが大好きな「にらめっこ」を1冊まるまる楽しめる絵本。しかも、にらめっこするのは人間でも動物でもなく、なんと鬼!
赤に緑に青色と、なんともカラフルな鬼たちが、「あっぷっぷの〜」と迫ってくるのですから、楽しいこと間違いないですね。絵を担当したすずきまみさんは本作が絵本初出版。しかもあいはらさん自らが見出し、スカウトしたのだそう。すずきまみさんに絵本初出版の今の気持ちを伺いました。
出版社からの内容紹介
赤鬼さんや青鬼さん、とにかくかわいい鬼たちが、あっぷっぷのぷ〜!とにらめっこをするとあらあら楽しい顔に大変身!今年の節分はこの絵本で大笑いしよう。東大教授で脳科学者の池谷裕二も「笑いの知育効果は0歳から。今こそ読むべき絵本です!」と大絶賛。作者はご存じ「くまのがっこう」「はっはっはくしょーん」シリーズのあいはらひろゆきと注目の新人すずきまみ。定番の赤ちゃん絵本に仲間入りすること間違いなしです。
この人にインタビューしました
沖縄県那覇市出身 名城大学法学部卒 食器デザイン事務所で猫や鬼の置物などの企画、デザイン、原型制作に従事。その後フリーに。
───カラフルな鬼たちとにらめっこができる絵本『あっぷっぷのぷ〜』。すずきさんは元々、鬼のイラストや置物を作られていたそうですね。鬼を描いたり、作ったりすることは以前からお好きだったのですか?
仕事として、縁起の置物やガーデンオーナメントのキャラクターデザインをしていました。鬼も依頼を受けて、厄除けの置物として制作をしたのが始まりです。 私がデザインして、原型制作からサンプル作りまで手がけていました。
───今回、『あっぷっぷのぷ〜』の絵をすずきさんにお願いした経緯について、あいはらひろゆきさんは「10年くらい前に青森の空港で、かわいい鬼の置物を見つけて購入したのですが、そのときについていた冊子にたくさんの鬼の絵が描いてあって、それがかわいくて、いつか絵本にしたいなと思っていた」とおっしゃっていました。あいはらさんからはどのような形で絵本の依頼が来たのでしょうか?
この子たちは「風水鬼っ子」という風水をからめた縁起物の商品です。ちょうど風水が注目されはじめていた時期に販売されました。カラフルな鬼たちに風水の意味づけをした置物です。その風水の説明書として私が製作した冊子にメーカーであるセトクラフト(株)さんの記載がありましたので、まずセトクラフトさんに連絡がありました。
───あいはらひろゆきさんから、絵本の絵の依頼が来たときはどう思いましたか?
思ってもいないことなのでびっくりしました。鬼でいったいどんな話が書けるのだろうと私なりに考えましたが、想像がつきませんでした。
私自身は子どもの頃、漫画が好きで漫画家になりたいという夢がありました。しかし、全くストーリーが書けずにすぐ諦めました。絵本が描けたらいいな、という憧れはありましたが、やはりおはなしが作れないので憧れだけでした。
───絵本作りはどのように進んでいったのですか?
あいはらさんのイメージを伝えてもらって、ラフスケッチを何度も描きながら進めていきました。私もアイデアを出しましたが、なかなか納得のいくものができず……。最終的に、あいはらさんが描いてくださったスケッチがとても完成度の高いものだったので、それを参考にしながら、一気に作業が進みました!
───絵本の主人公が鬼たちというのは、最初から決まっていたのですか?
はい。最初から、この子たちを出したいと、あいはらさんの中で決まっていて、おはなしの流れもほぼ決まっていました。
───絵本には赤や緑色と言ったカラフルな鬼たちが登場しますが、最初から色とりどりの鬼を描こうと思っていたのですか?
既に立体の鬼っ子たちが居るので、その子たちが絵本の平面でも生き生きと可愛らしく見えるように心がけました。
───絵を見ると、鬼たちそれぞれ、性格が違うように思いました。それぞれの鬼の性格が決まっていたら、教えていただけますか?
そうですね……。赤鬼さんは学校でモテるタイプの子です。可愛くて人気者です。緑鬼さんは活発な子で、足が速くて喧嘩も強いです。青鬼さんは普段は強面です。不良タイプ?でもひょうきん者でみんなを笑わすことも好き。黄色鬼さんは少し太っています。おっとりマイペースさんです。
───この4匹の鬼たち、絵本の中でとても仲良しですが、どういう関係なのでしょうか?
関係性は、同い年のお友だちのつもりでしたが、兄弟にもみえますね。近所の年齢がバラバラな子たちが集まって遊んでいるのかも? 絵本を読んだ皆さんに、いろんな場面を想像していただけたら嬉しいです。
───「あっぷっぷの」「ぷ〜」の後の鬼たちの表情がどれもユニークで、ページをめくった瞬間に笑ってしまいます。
鬼の表情がこのお話のキモなので、怖くなくユーモアがあるように描くことを心がけました。実は、鬼たちの変顔は、あいはらさんご自身のラフスケッチの通りなんですよ。
───鬼の表情やポーズを描くとき、参考にしたものなどはありますか?
1、2歳児を参考に描きました。鬼たちがはいている虎のパンツがオムツっぽいのは、その名残です。
───透明感のあるタッチも印象に残りますね。絵を描くときは、どんな画材を使って描かれているのですか?
普段はパソコンを使ってデジタルで絵を描いています。今回の絵本は、あいはらさんから「原画は手描きで欲しい」と依頼がありましたので、アクリル絵の具を使用しました。ただ、作風を決めるのに悩み、何度も試行錯誤を重ね、何度も試作を繰り返しました。あいはらさんからOKをもらったときは、本当にほっとしました。
───絵本の絵を描くということで、特に緊張した部分や、気を遣ったところ、大変だったところなどはありましたか?
線の勢いとか、太さ。色を塗る時の色むらやにじみ、水彩画の特徴を生かすように気を配りました。
───ご自身の描いた絵に文字などのデザインがついて、本の形になる過程を見ることについては、どのように感じていらっしゃいますか?
文字のデザインなどで雰囲気が変わるのがおもしろかったです。文字の配置やデザインを含めて、絵本なんだと思いました。
───絵本ができたら、誰に一番に渡したいですか?
私の甥っ子にちょうど1歳と2歳の子がいます。真っ先にプレゼントしたいです。
───すずきさんは普段、置物や食器のデザインをされているということですが、いつ頃から食器のデザインのお仕事をされるようになったのですか?
20年以上前です。洋食器のデザイン事務所に勤めていました。絵柄のパターンや食器のシェーブを石膏で削り、デザインする会社です。サンプルを作るために土をこねて絵付けをして電気窯で焼いたりもしました。
───イラストを描くことは、小さいときから好きだったのでしょうか?
そうですね。絵を描くことが好きな子どもでした。ノートも落書きばかりでした(笑)。
───小さい頃は、どんな絵本が好きでしたか?
『ぐりとぐら』です。中川李枝子さんと山脇百合子さんの絵本は、今でも心に残っている作品ばかりです。『いやいやえん』や『そらいろのたね』(共に福音館書店)も大好き。何気ない日常のおはなしなのだけど、ちょっとちがう事が起こる。そんなストーリーが大好きなんです。絵もかわいいですよね。
───大人になってから出会った絵本、好きになった絵本はありますか?
大人になって、読み直して泣いた絵本は『100万回生きたねこ』(講談社)です。小学校低学年の頃に読んでいたのですが、そのときは深い意味がわからなかったんだと思います。
───あいはらひろゆきさんのことは、以前からご存知でしたか?
『くまのがっこう』(ブロンズ新社)は知っていたのですが、作と絵が別の方だとは気づいていませんでした。あいはらさん、すみません……。
───あいはらさんと一緒に絵本を作る中で、「あいはらさんスゴイ!」と感じられたことがあったそうですが……。
物語を書けない私からしたら全てすごいです! 映像まで頭の中にあって、それを具現化していくわけですから。あいはらさんが描いてくれた鬼の顔は、ふっきれていて、とても刺激を受けました。
───『あっぷっぷのぷ〜』を作り終えた今、次の絵本を作っていきたいですか?
描いている最中はプレッシャーで緊張しまくりでしたが、出来上がると達成感というか、苦しんだ分だけ喜びが大きかったです。
まだ、次の作品は決まっていないのですが、もし作れるのであれば、次は『はらぺこあおむし』(偕成社)のような、映像で記憶に残る絵本にもチャレンジしていきたいと思っています。『はらぺこあおむし』は、大人になった今見ても、可愛いと思える色使い、シンプルな構図、すべてが素敵だと思います。
そういう意味では、エリック・カールさんの作品とあいはらさんの作品は、目指しているところが近いのかなという感覚はありました。
───色々お話を聞かせていただき、ありがとうございます。最後に、『あっぷっぷのぷ〜』をどのように楽しんでほしいですか?
とても楽しい絵本ですので、何回も何回も子どもたちに読んでもらえると嬉しいです。ページをめくる度に変わる鬼たちの顔を見て、子どもたちも真似をしたり、一緒に笑顔になって欲しいです。
構成・文/木村春子