日本語版刊行30周年♪想いのつよさをくらべっこ♥
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「とうもろこしぬぐぞう」、なんて堂々した名前なのでしょう。今から彼がすることといえば、もちろん……!毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『とうもろこしぬぐぞう』です。読んでいるだけで気持ちいい、何度でも繰り返したくなるこの絵本。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
その手足は健康的に日焼けをし、青々とした身体にふさふさのひげ。あぐらをかいて、まっすぐにこちらを見る彼の名前は「とうもろこしぬぐぞう」。なんて堂々した名前なのでしょう。今から彼がすることといえば、もちろん。
「いくぞ!」
縦開きの絵本をめくると、そこに立っているのは……?
見てください、この力強い立ち姿、愛嬌のある表情。なんだか面白いことがはじまる予感しかしませんよね。
さあ、はじまりました。ばりばり、べりべり、ぺりぺりときて、べろーん。それはそれは見事なぬぎっぷり。黄色に輝くつやつやの粒も見えてきましたよ。ついでにふわふわのひげも……。
そうなのです。この絵本は、とうもろこしが自ら、ただひたすらにその葉っぱをぬいでいくお話。どうでしょう、この気持ちよさ。ぬぐぞうさんにつられて、みんなが嬉しくなってしまいます。力強い墨の線と、歌舞伎役者のような凛々しい表情。そして、どこか懐かしい雰囲気を漂わせながら、きっと彼は、あっという間に子どもたちの人気者になってしまうのでしょうね。何度でもめくりたくなります。
ああ、とうもろこしにかぶりつきたくなってきましたよ。作者はらしままみさんの絵本デビュー作です。
本物そっくり!?
理屈を上回る爽快感、それがこの絵本の一番の魅力です。どう楽しめばいいのか、絵本を開けばすぐにわかる。そういう作品って、ありそうでなかなかないですよね。でも、実際にとうもろこしを茹で、一本まるごと食べようとしてびっくり。ぬぐぞうさんとそっくりそのままの光景が、目の前に広がるのです。しっかりとした観察から生まれてきたからこそ、シンプルでも子どもたちの心に直接響くのかもしれませんね。
この書籍を作った人
1983年東京都生まれ。明治大学商学部商学科卒。電機メーカー勤務。「パレットクラブスクール」絵本コース、「キルタースペース絵本勉強会」、絵本ワークショップの「チャブックス」に参加し、絵本創作に取り組む。本書がデビュー作。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。