一面真っ白の雪景色で、心が温まる親子のおはなし
- かわいい
2021年10月に発刊された絵本『しってるよ』は、小さな妹をもつ主人公の男の子と、お母さんのはなし。
男の子は「かあちゃんのこと、なーんでもしってるよ」と思っていて、お母さんの言うことを先回りして当てていきます。例えばスーパーで、「きょうはおかしはかわないよーっていうんでしょ」などなど。
「あるある」な子どもと親のやりとりが続きますが、シンプルなテキストから、ちょっとずつ子どもの気持ちと親の気持ちが見えてきます。かあちゃんはボクのこと、ちゃーんとしってるのかな?
日常のやりとりを描いた絵本について、たかだしんいちさんにお話を伺ってみました。
出版社からの内容紹介
ボク、かあちゃんのこと、なーんでもしってるよ。
かいものよー!おかたづけしてーっていうんでしょ。
スーパーのカートであそんじゃだめっていうんでしょ。
きょうはおかしはかわないよーっていうんでしょ。
ほーら、やっぱり。
ーこの絵本の主人公について教えてください!
主人公の男の子は、妹に手を取られているお母さんをよく見ています。(しってるよ) とお母さんの言うことを先読みしては、口にするのは「ちょっとまって」「スーパーまで競争」「もう〜できるのに」などなど。行動もお母さんの注意を受けることばかり。でも心の中では…。
お兄ちゃんの心の内を読み解き、親子で会話しながら読んでもらえたらと思います。
ちなみに妹は、なんでも触りたいモードに入っています。コネテ・ヤブッテ・ホオリナゲテ…。目の離せないこの時期、お母さんは大変です。何に触ってるか、チェックしてみてください ^_^
by たかだしんいち
ー続々と感想が集まってきていますが、意外なとらえ方もあったとか?
子どもの目線(気持ち)で進んでいくお話が相手(母)の気持ちへと繋がっていく展開の面白みを楽しんでもらえればと創った作品でしたが、大人の方からいただいた感想に「目がしらがあつくなりました」「ホロリとしました」などの言葉があったのには驚きました。今になってみると、お母さんの心の内を文章に入れなかったことで、読み手のお母さんそれぞれが自身の気持ちを乗せて読み進めることができたのかなと考えています。(本当はあのとき、こんな言葉を言ってあげたかったな等)
ーラストのお母さんの目が愛を語ってますよね。
何かドラマティックなことが起こるわけじゃない、家からスーパーに行って帰るという日常の一場面を切り取った物語ですが、どのページも様々な色であふれるように工夫しました。
by たかだしんいち
実はこの絵の中に豚の鼻を書き込んでいます。見つけることはできるでしょうか?
by たかだしんいち
ー『しってるよ』が生まれた背景について教えてください!最初の原稿では、主人公に兄妹はいなかったとか?
絵本『しってるよ』の構想を練る中で背景となったのは、もう社会人となった三人の我が子との思い出です。四歳の頃、何にでも興味を持ち、いろいろなことをどんどん吸収していく中で、得意げに口にしていた「しってるよ」。この言葉を絵本にできないかと考えたのがはじめです。「しってるよ」と繰り返すエピソードから、「しらなかった」ことにたどり着くストーリーで母と男の子二人の物語でした。
今回のストーリーに変わっていったキッカケは、ともに働き、バタバタと子育てをしてきた妻との会話で気づいたこと。子どもたちは、親の発言(口癖)、行動を本当によくみて(しって)いたけど、自分たち(親)は子どもを、しってるつもりだけど…しってたのかな?
自身の子育ての振り返り(反省?)から生まれた物語です。
上の絵は『しってるよ』には載っていませんが、元となったお話で描いていたものです。お風呂上がりの男の子をお母さんが追いかけています。
by たかだしんいち
たかだしんいちさん、ありがとうございました!『しってるよ』は読むたびに発見のある絵本です。是非お手に取ってみてください!(文研出版・編集部)
2022年の1月24日から31日にかけてゆう画廊にて開かれた原画展も好評でした。その際のインタビュー動画はこちらです。