中学生24人が在籍する1年A組の1年間を描いた『クラスメイツ』。<前期>にひきつづき、<後期>も1編ごとに語り手が変わり、クラスメイト一人一人にスポットがあてられていきます。<後期>では、<前期>で未解決のまま終わっていたいくつかの問題がつぎつぎに解き明かされていきます。
季節は秋。後期のクラス委員長選挙に燃える、優等生女子の久保、合唱コンクールという晴れ舞台を成功させるために指揮者に立候補した心平。1学期の初めから学校に行けなくなってしまった田町、親友だった美奈とゆうかのケンカの行方。クラスの人気者でまとめ役の委員長ヒロの意外な虚脱感…など12編のお話の中に、<前期>で登場したクラスメイトのその後も分かる描写が織り交ぜられながら、それぞれの日常がドラマティックに繰り広げられていきます。四月に同じクラスになって以来、さまざまな出来事を超えて、お互いの理解が深まっていくクラスメイトの関係性の変化にも注目です。
24人の中学生がいたら、24通りの見方や思いがある。自分の視点を通して見ていたのでは知り得なかった現実、全く予期していなかった真実が見えてきた時、登場人物と同様、読みながらショックを受けることもしばしば。そこには身にしみるリアルさがあります。けれども違うからこそぶつかったり、自分にないものを友人のふるまいや言葉にみるからこそ、たがいに影響し合える「クラスメイツ」の存在の尊さにあらためて気づかされます。
日本のYA文学を切り開いてきた森絵都さんの12年ぶりの作品となる本書は、展開の面白さとテンポの良い語り口で、2冊という長編ながらも一気にスラスラと読めてしまいますが、読み終えた後はなんともいえない爽やかな余韻が残ります。シリアスな場面もありながら思わずくすっと笑ってしまうユーモアもたっぷり。目の前にいるクラスメイトたちの顔や、かつてのクラスメイトたちのこと、中学時代の自分自身に思いを馳せながら、特別な時間の中にいる中学生たちの1年間をたっぷりとお楽しみ下さい。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
日本のYA文学をきりひらいてきた森絵都が、直木賞受賞後はじめて描く中学生群像。中学1年生24人のクラスメイトたち、その1人1人を主人公にした24のストーリーで思春期の1年間を描いた連作短編集。前期・後期の全2巻。 うれしい出会いや、ささいなきっかけの仲違い、初めての恋のときめきや、仲間はずれの不安、自意識過剰の恥ずかしさや、通じあった気持ちのあたたかさ。子どもじゃないけど大人でもない、そんな特別な時間の中にいる中学生たちの1年間。だれもが身にしみるリアルさを、シリアスなのに笑えて、コミカルなのにしみじみとしたユーモアでくるんだ作品集。
前期では語り手にならなかった12人の目線での物語。
24人いたら、A組もそれぞれ違った風景が広がっているんだなと。
前期で謎のままだったアレコレも回収されました。窓ガラスの件は意外だったなぁ。
個人的には、最後のヒロの話が印象深かったですが、どの子にも抱えているものが色々あって、懐かしく感じる事もあり面白かったです。 (lunaさん 30代・ママ 男の子13歳)
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