アフリカ最奥部のジャングルを流れるコンゴ河。著者は21年の時を隔てて2度にわたり、この大河を下る長い旅に出た。ある時は、5千人にも達する人々が船の上でひしめきあって生活しているという幻の船「オナトラ船」に乗りこみ、その混沌とした驚きの情景とパワーに圧倒される。ある時は丸木舟を漕いで河辺の村々の暮らしに触れ、雄大な自然の中に生きる人々の知恵や死生観を思う。それは「慣れ親しんだ物の見方を根底から覆してあまりある強烈な体験だった」――。予測不能で、矛盾と不条理だらけの道程に怒ったり笑ったりしながら「人間が生きるということ」を否応なしに考えた、過酷にして愉快な旅の記録。クスリと笑ってしまうびっくりエピソードから、コンゴの歴史や紛争についての考察など、硬軟とりまぜた充実の内容。豊富な写真つき。
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