楽しみにしていたお祭りに行けなくなったミキちゃん。 「ごめんね。ミキちゃん」とママはあやまるけれど 「やだやだ! そんなのってないよ。おまつりは、きょうなんだよ。」 ミキちゃんは残念でたまりません。 ママは用事に出かけてしまい、外はだんだん暗くなってきました。
すると玄関でピンポーンとチャイムの音。 「こんばんは。おまつりやです。」
顔をだしたのは、頭にねじり鉢巻き、はっぴを羽織った「おまつりやさん」。 お祭りに行けない子どものために、お祭りの出前にやってきたんですって! あてくじいっかい無料です、と言われて、ミキちゃんがひいてみるとおおあたり! あれれ、いつのまにかミキちゃんはお祭りの群衆のなかにいます。 おまつりやさんに、山車の上へひっぱりあげてもらったミキちゃんは……!?
「おまつりやさん」というへんてこな名前、おじさんのちょっぴりあやしい感じがたまりません。 大島妙子さんの絵は、日常から非日常の世界へ、あっという間につれていってくれます。 ミキちゃんが山車のてっぺんから見る、ダイナミックな景色が最高の見どころです。
子どもの頃の“お祭り”って特別なものですよね。 暗闇にならぶ屋台、電球の奥から声をかけてくるテキ屋さんたち。 屋台の前にも、道にも、光のなかで浮かび上がるいつもとちがった人間たち。 まるでそこらじゅういっぺんに魔法をかけられたような、夜の時間……。 さあ、そんなお祭りの季節がもうすぐやってきます。 どこかに、お祭りに行けなかった子はいないかな? 夕方、ピンポーンと玄関でチャイムがなったら……もしかしたら、おまつりやさんかもしれませんよ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
<夏におすすめのファンタジー絵本>パパはお仕事、ママも用事でお出かけ。楽しみにしていたお祭りに行けなくなったミキちゃんのところに、「おまつりやさん」がお祭りの出前にやってきた! 出前のお祭りはとっても不思議。輪投げ屋さんでは、投げても投げても、輪がなくならない。綿菓子屋さんは、綿菓子のような雲に乗ってやってくる。 ミキちゃんは、山車の屋根に乗っけてもらったよ。すると、山車は空を飛んで、打ち上げ花火の火の中へ。ドン、ドドーン。「きゃあ! スリルまんてん!」 そのとたん、ミキちゃんは足を滑らせて、 山車の屋根から落っこちた。 たいへん! ミキちゃん、大丈夫!?
今年の夏に目の手術をすることになったゆっくり、ゆっくりの孫は、今年の盆踊りは、ちょうど入院中だなあって思いながら読みました。孫のところに、「おまつりやさん」が、やってきてくれるといいなあと思いながら、私もファンタジーの世界に誘ってもらえました。読み終わった後もしばらくぼんやりとして楽しめました。孫の入院中は、私が二人の弟を盆踊りに連れて行ってあげようと思いました。お祭り風景は、絵を眺めているだけでも凄く嬉しいです。 (押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
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