「魔女の宅急便」の著者が描き下す、9歳の少女の戦争物語
太平洋戦争のさなか、幼くして母を亡くしたイコは父の再婚相手とともに疎開する。家のそばにある、暗く大きな森のトンネルで、脱走兵が自殺した噂を耳にするが……。
著者角野栄子さんの自伝的小説なんだと思います。
物語は、太平洋戦争がはじまり、終戦するまでの、
そう長くない期間のお話なのですが
そこに会った日常がどんどん変わっていくさまが
淡々とつづられています。
5歳で母を亡くした、主人公のイコ。
仕立て屋の祖母タカとの暮らし。
父の再婚相手(継母)の光子さんとの、
どこか他人行儀なもどかしい関係。
戦争に行ったが、体を壊して帰ってきた父セイゾウさん。
疎開先の友達で、同じ東京からの疎開っ子のカズちゃん。
森に潜んでいるのではないかという脱走兵。
戦争がなければこうはならなかったろうということが次々と起こり
それぞれの人生がゆがめられていく。
歯がゆい思いが伝わってくる。
主人公のイコ目線で書かれているが
私は、後妻の光子さんの気持ちを想像し、それがとても切なかった。 (やこちんさん 50代・ママ 女の子16歳)
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