トマスや、山や森の自然のなかで遊ぶのが大すきな男の子。本を読むのなんか大きらい。ところがある日、お母さんにむりやり連れて行かれた図書館で、すばらしい司書の、木でできたユニコーンに出会う。そのおかげで本が好きになったトマスだが、やがて戦争がやってきて…。本の力にみせられ、戦火から本を守りぬいた人々の姿を、幻想的なユニコーンとともに描いた感動作!
マイケル・モーパーゴさんは、私が信頼する作家さんです。今まで読んだどの本も、読みごたえがあり素晴らしかったです。戦争を扱った作品は苦手なのですが、モーパーゴさんの作品からは、戦争の悲惨さを超えて、未来への希望や人間の持つ力の素晴らしさが伝わってきます。
この『図書館にいたユニコーン』には、「おはなし」や本の世界の楽しさ、素晴らしさ、そして言論の統制や戦火からそれらを守りぬこうとする人たちの命をかけた行動が描かれていました。読み終わり、静かな感動を覚えました。
戦火から本を救い出す場面では、『バスラの図書館員』(晶文社)を思い出しましたが、訳者あとがきによると、実際に図書館の本を救ったロシア人司書の話を基に書かれたとのこと。世界のあちこちで同じようなことがあったのだと改めて知りました。
この本は比較的大きな字で書かれていて読みやすく、文章もそれほど多くありません。本を読むことに慣れていない子どもさんにもおすすめできると思います。 (なみ@えほんさん 50代・その他の方 )
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