「想定外」の災害を生き延びるための、真の知識と判断力を身につけよう。
大地震と大津波が襲い、戦後最悪の被害をおよぼした東日本大震災。 M7.0以上の大地震が連続して発生した熊本地震。 予想を上回る自然災害の脅威は、まだ私たちの記憶にも鮮明に残っています。 これらの大災害は、もはや行政によるハード面の防災対策だけでは、被害を十分に防げず、 防災教育や避難訓練などソフト面の対策が不可欠であることを改めて明らかにしました。
自然災害では、必ず「想定外」のことが起きます。 そのため、一定規模の災害を想定して作られている対症療法的な非常時マニュアルは、 想定を超える大災害を前にしては訳に立たないことも少なくありません。
それゆえに、本当の防災のためには、災害現象の対処方法のみならず、 なぜ自然災害が起きるのか、自然災害が起こった場合にどのような被害が起こりうるのか を正しく学び、いざというときに正確な判断を下すための応用力を養うことが不可欠です。 それも、大人から子どもまで、ひとりひとりがそれらを身につけ、 自分の命は自分で守る意識を持つ必要があります。
こうした防災教育は、実は目新しい学問ではありません。 すべての知識は、学生時代に学んだ地学や理科の学習が根幹になっています。 また歴史上たびたび日本を襲った自然災害を記念して建てられた、 災害学習のための機関も全国各地に存在します。 しかしながら、そうした基礎知識や各地の学習機関を効果的に結びつけた 防災教育の教科書、すなわち「防災教育のためのマニュアル」は これまで存在しませんでした。
本書は、小・中・高校の教員や各行政機関の防災担当者が、 防災教育で参考にし、また日常的に使用参照できる内容を備えた、 従来にない教育重視の総合的防災マニュアルです。 地震・津波・土砂・火山・風・水の6つの災害それぞれについて、 以下のような理科教育における自然観の育成メソッドに基づいて解説しています。
1)イメージ教育……実際の災害事例を知って興味関心を高める 2)模擬演習……実験・体験で災害のしくみや規模を体感する 3)知識理解……自然現象がなぜ、どのように起こるかを理解する 4)思考判断……基礎知識をもとに、応用力、判断力を身につける
災害の事例や自然現象のしくみが直観的に理解できるよう、多数の写真や図を収録。 インターネットで見られる参考動画やウェブサイト、全国の防災教育機関なども 多く紹介し、読者個人の学習のみならず、教育・啓蒙活動に役立てられる情報が満載です。 日本に生きる限り決して逃れることはできない自然災害と向き合い、乗り越えるための、 必読の書と言えるでしょう。
<おもな目次>第1章 地震災害 1 地震は怖い! ――地震災害の実例 2 地震の実験・体験・見学――体験からしくみを知る 3 地震を学ぶ――災害のメカニズムを学習 4 地震災害に備える――防災のための応用知識 (以下同じ)
第2章 津波災害 第3章 土砂災害 第4章 火山災害 第5章 風災害(台風・竜巻など) 第6章 水害
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