その男は、とてもびんぼうでした。 すがたはまるで怪物のようでしたが、働いて働いて、気がつくと大金持ちになっていたのです。 ほしいものはなんでも手に入るようになった男がつぶやきました。 「ああ、あのときのカレーライスが食べたい。」 まずしいときにごちそうになったカレーのことです。 男の頭はそのカレーのことでどんどんいっぱいになっていき、家来や家族に無理を言って……気がついたら、またひとりぼっちの、びんぼうな男にもどっていたのです。 そんな男がたどりついた先は……。
「あらしのよるに」シリーズで知られるきむらゆういち氏と、小学館絵画賞、日本絵本賞大賞等多数の受賞がある重鎮伊藤秀男氏、初めてのコンビによる絵本です。 「カレーライス」という身近な題材で、小さな子どもから楽しめますが、「人生でほんとうに大切なものは何か」という深いテーマが含まれています。
お金がたくさんあれば幸せってもんでもない、というお話。生活に必要なだけのお金があればいいんだね。しかし街一番の美人にしてはこの奥さん…結婚して変わっちゃったのかな…。一生のうちに大金持ちも大貧乏も経験したこの男の人の、一番最後のページの笑顔がとてもいいね。 (梅木水晶さん 30代・ママ 女の子6歳、男の子3歳、女の子0歳)
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