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アメリカ北部からカナダの北極圏にかけて、無数の湖と深い森の広がる「ノースウッズ」。きびしい冬が終わり、湖の氷がとける時期になると、ふだん大工をしているウェインは、だれよりも早く、カヌーを漕いで森の奥へと出かけます。ある年、ぼくはウェインに同行してその旅に出ました。湖で釣りをしたり、鳥の巣に出会ったり、発見と驚きに満ちた3週間の旅の記録です。
表紙の写真。ウェインさんとカヌー。アルミやグラスファイバーではなく、森に育つヌマヒノキで作られた、昔ながらの木のカヌー。水をかくパドルは、折れにくくて弾力性のあるトネリコの木材をけずってウェインさんが自分で作ったもの。「木は水とよくなじんで、こいでいると、とても静かなんだ。それに木の色は森の風景にとけこむんだよ」
また旅の途中、森に暮らす鳥や動物たちを驚かさないための工夫でもある。
ああ、だからこの写真絵本を見ていると、自分も自然の一部になって、旅をしている気持ちになるんだなと思った。
春浅いノースウッズの森。冬眠から目覚めたばかりのトリゴエアマガエルたちの笛の音。ゆっくりと朝日がのぼり、ノドジロシトドののびやかな歌声がわたってくる。
この冬にオオカミにおそわれたムース(ヘラジカ)の顔の骨。古い森がカミナリが落ちて山火事となり、新しい森に生まれ変わる。
作者である写真家の大竹英洋さん。北米の湖水地方「ノースウッズ」をフィールドに人間と自然のつながりを問う作品を発表しているそうだ。 (わさんぼんさん 50代・その他の方 )
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