ペットと暮らしていると、いつかは訪れてしまう別れ。飼犬や飼猫の平均寿命は年々延びているそうですが、それでも避けることはできません。主人公の少女もまた、愛犬との別れに直面し、悲しみに暮れていました。
少女は思い出の品を片付けます。見ていると悲しくなるから……。 でも、色々な場所に、色々な季節に、一緒に過ごした思い出や面影はあふれていたのです。
著者の松尾たいこさんは元保護犬のうずめちゃんと一緒に暮らしています。うずめちゃんが来る前には、15年間一緒に過ごした愛犬いくらちゃんとの別れを経験されました。きっと松尾さんも、この少女のように最初はいくらちゃんの死を受け入れらなかったのではないでしょうか。
私は、もうすぐ13歳になる猫と暮らしています。人間で言うと68歳です。 だんだんと寝ている時間が多くなっているものの、食欲だけは全く衰えません。元気だなあと安心する反面、ふと別れのときを想像してしまうこともあります。 別れのときはきっと私も悲しみに暮れると思います。本書を読んで「今を大切にして、ずっと忘れないでいたい」と思いました。
(近野明日花 絵本ナビライター)
風のおと、陽のひかり、星のまばたき。 姿は見えなくても、世界のどこかに、きみはいる。 大事な存在をうしなったすべての人に捧ぐ、 感動の絵本。
【内容】 最愛のペットを失い、悲しみにくれる少女。 彼女が再び前を向こうと思えるようになったのは……。
愛犬とのかけがえのない日々の思い出、 そして、いなくなってからも実はそばにいるんだよ、というサインが 美しい季節の風景の中にかくれていることに、 少女は気づきます。
イラストレーターとして活躍中の松尾たいこが、 愛犬を失った自分自身の経験をもとに、 ペットを失う悲しみ、つらさと、そこから立ち上がっていくまでを 美しい色彩で描きました。
心に押し寄せる気持ちをそのまま素直にうつしとったような色彩は、 大切な存在を失うつらさと悲しみに、そっとよりそってくれるはず。
四季の移ろいゆく美しい風景の中に、きみはいる。 いままでも、これからもずっと。
【著者からのメッセージ】 15年一緒に暮らした愛犬を亡くしました。 高齢とはいえ、まだまだ一緒にいられると思っていただけに、 その死は悲しくて受け入れ難く、立ち直るには時間が必要でした。 最愛のペットとの別れの悲しみを癒す方法は人それぞれ。 そのひとつとしてこの絵本が役立ったら嬉しいなと思っています。
【著者プロフィール】 松尾たいこ/アーティスト、イラストレーター 広島県呉市生まれ。11年間勤めた地元の自動車会社を辞め32歳で上京。1998年からイラストレーターに転身。大手企業などにも多く作品を提供、手がけた本の表紙装画は300冊を超える。
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