相続問題は身内のことであるがゆえに、デリケートな問題を抱えています。 紛争に至るのは、日頃の相続人間の感情の対立が相続問題を機に噴出したケ ースが多いようです。例えば、親(被相続人)の面倒を見ていた相続人にと っては相続分は多くて当り前といった感情がありますし、他の相続人にして みれば今は均分相続の時代だから当然貰えるものは貰いたいという気持があ ります。そして、そういった感情の対立は相続人の配偶者まで巻き込んで複 雑化していきます。 このように、相続事件は一歩間違えば身内間の醜い争い、まさに「争続」 となってしまいます。これを防ぐ方法があるかと言えば、相続財産を譲る人 がしっかりした遺言により財産の分配を明確にしておくことが大切です(後 述の「遺言書作成のすすめ」を参照してください)。遺言書がない場合でも 相続人同士が冷静に話し合うことです。意外に本音の部分で冷静に話し合え ば、元々身内なのですから、解決の糸口がつかめるものです。 しかし、紛争を残さないように遺言を書くにしろ、冷静に話し合うにしろ、 相続における基礎的知識を理解しておくことが必要と思います。 本書は、基礎的な知識の理解のため企画・出版されたものです。本書はイ ラスト部分だけでも分かる仕組みになっており、法律に不慣れな方にとって も分かり易くなったものと思います。本書を紛争予防にあるいは紛争解決に お役立ていただければ幸いです。 本書は、これまで課題となっていた点についての最新の相続法の改正点に ついてもふれております。(「はじめに」より抜粋)
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