おっちょこちょいで強引だけれど、どこか憎めない「おっちょこ先生」と、スポーツ万能のいさな、頭脳明晰な千種が騒動を巻き起こす「おっちょこ魔女先生」シリーズ。おっちょこ先生のピンチを救った1巻目に続き、2巻目のお話は‥‥‥?
「おっちょこ先生」は、花丸小学校の保健室の先生。1巻目で、おっちょこ先生が魔女だったと知ったいさなと千種は、夏休みを直前に控えた終業式の日、魔女の師匠に、秘密を知ってしまった小学生としておびき寄せられてしまいます。そこには、魔女の秘密を知られた罰として、保健室の奥のお説教部屋に閉じ込められたおっちょこ先生の姿が。おっちょこ先生は、恐ろしい師匠(実はいさなと千種もよく知っているある人だったのですが)を前に、いさなと千種を弟子にしたと言い訳するのですが‥‥‥。
「弟子に魔法を教えるのは、ま、魔女として当たり前のことです」 「わかりました。そういうことであれば、この二人に魔女試験を受けてもらいましょう。」
あれよあれよと、突然、魔女試験を受けることになったいさなと千種。合格できたら魔女として認めてもらえ、不合格なら、魔女の記憶は全て消される・・・・・・!? はたして二人にはどんな魔女試験が待ち構えているのでしょうか。
そうして始まった魔女試験への道。おっちょこ先生の自宅に泊まり込みで修業が始まります。はじめは嫌々だった二人でしたが、あれ? なんだか魔女修業の内容はとっても楽しそう。専用のほうきひとつ作るのに、さまざまな特徴をもつ木の種類から、自分と相性のいい木を選んだり、魔女の薬を作る課題では、材料にする薬草ひとつひとつに採取する時の極意があったり、ひとつひとつがとっても奥深いんです。もちろんひとすじ縄ではいかない大変さがありつつも、スポーツ万能のいさなと、頭脳明晰な千種が、お互いの苦手を補い合いながら、協力し、厳しい試験に立ち向かう様子はドキドキの連続。1巻目からさらにパワーアップしたコンビ具合にもご注目下さいね。
また、美味しそうな食べ物がいろいろ登場する場面にも心が掴まれます。 たとえばおっちょこ先生の部屋の鉢植えになっている、色とりどりの卵のような実。その実を割ると、なんと中からオレンジ、ブルーベリー、リンゴ、マンゴーなどいろいろな味のジュースがあふれ出てくるのです。しかもおっちょこ先生の家ではいつでも飲み放題! また、コック帽をかぶったカエルのケロロンが出してくれる、「とろとろのチーズトースト」「冷たい夏みかんのコンポート」「山盛りサンドウィッチ」「海鮮丼」などの料理もとっても美味しそう。これには魔女試験がめんどくさいと思っていたいさなと千種も、「なんとかなるんじゃない?」という気にさせられてしまうのです。美味しい食べ物とジュースがあれば、大変な魔女修業も頑張れそうな気がしてしまうのはなんだか納得ですよね。
さらに、今回も人間に取り付いて悪さをする「五月蠅(うるさい)」「猫ばば」など、数々の魔物が登場します。お話のクライマックスには最強の悪魔までもが登場! いったいどんな風貌をしていて、どんなことをやらかすのでしょうか。
「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズでおなじみの廣嶋玲子さんがおくる、身近な保健室からつながる魔女と魔法と魔物の不思議な世界。まるで自分が魔女修業をしているかのようにドキドキさせられながらも、次々登場する魔女の世界のアイテムにワクワクが止まりません。今回もびっくりするような「おっちょこ先生」のドジぶりも炸裂。最初から最後まで、また細かいところまで、ぜひたーっぷりと楽しんで下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
主人公・いさなは小学5年生。 親友の千種とともに、あるヒミツを知ってしまいました。 それは――、保健室の乙千代子先生(おっちょこ先生)が「魔女」だと言うこと。 でも、これは人間には絶対に知られてはいけないヒミツだったのです! いさなと千種は、「不合格なら、魔女についての記憶をぜんぶ消します」と言われて、 しぶしぶ魔女試験を受けることに……でも、人間の二人には、むずかしい課題ばかりで!? ほうきに乗ったり、魔法の薬をつくったり……。 いさなたちの冒険がはじまります!
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