必ず喉を一刀で斬殺! 三年で九人。十年後のここ二カ月で三人が…。
十年前と全く同じ手口で、幕府の徒目付らが斬られた。 奉行所が「闇太郎」と呼んだ殺し屋が再び動きだした? 栄次郎は現場で賊と対峙!
栄次郎は昌平橋を渡り、湯島聖堂の前に差しかかった。雨音に混じって悲鳴のような声が聞こえた。 前方から黒いものが走って来た。笠をかぶり、合羽を着た侍だ。 侍が走って来た後方に黒い影が横たわっている。栄次郎は行く手に立ち塞がった。 いきなり、覆面の侍が抜き打ちに斬りつけてきた……。 横たわるのは、喉を一刀のもとに斬られた直参の真島又一郎、兄栄之進の朋輩だった。
◆ 著者について 小杉健治 こすぎ・けんじ 「時代小説が書きたくて小説家を志した」と言う氏の面目を十二分に発揮した<栄次郎江戸暦>シリーズは、確実に大人の読者を魅了し、人気を不動のものにしている。 1983年『原島弁護士の処置』でオール讀物推理小説新人賞を受賞。87年『絆』で推理作家協会賞、89年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞。1947年、東京に生まれる。
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