日本人は進化論にどう向き合ったか。新たな思想史の誕生
明治の幕開けとともにもたらされたダーウィンの進化論。これまでの研究では、日本人は進化論を抵抗なく受け入れたとされてきた。しかしそれは全くの神話である。その受容の歴史には、仏教、神道、キリスト教、哲学、マルクス主義、国体論などあらゆる思想やイデオロギーとの衝突や交渉がみられた。本書は明治から現代まで幅広い言説を博捜し、近代日本の思想を進化論への反応を軸にダイナミックに描き出す。
「進化論は、日本に無批判的かつ無抵抗に受容されたのでは、決してない。進化論という光のもとで自然界を再考し、また自然・人類・社会・科学・聖なるもの・神のあいだの関係を再検討するための、知識の流用・翻訳・考察・討議が、日本では一世紀にわたり行われてきたのだ。進化論への宗教的な態度について議論する場合、受容と拒絶、どちらかの痕跡を探すような見方を超えたところに行くべきだ。」(本書より)
〇目次 第一章 明治期の日本における進化論の宗教的伝播 第二章 進化、個人、国体 第三章 ダーウィン以後の仏法――明治仏教と進化論の抱擁 第四章 ユートピアの約束――社会主義ダーウィニズムと革命的ユートピア主義 第五章 「進化論は近代の迷信です」 第六章 観音による久遠の抱擁
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