維新直前の6年間、幕命で王城を守った新選組。敵か味方か、目まぐるしく変貌する動乱の渦中、尊王・攘夷・佐幕を剣一刀で貫いた集団だった。 草莽の若者がさまざまな思いを胸に上洛して結成した新選組。激闘、分裂、粛清、そして落陽のその日までを、「事件」「組織」「人物像」「エピソード」の4つの視点から徹底的に紹介する。 政治家の才長けた近藤勇、天賦の戦術家だった土方歳三など、これまでとは異なる視点でのアプローチも多数。
<巻頭特集>写真やイラストなどでわかりやすく軌跡をたどる「見て楽しむ新選組ヒストリー」。
<巻頭インタビュー>
町田明広・神田外語大准教授による「世界は幕末の日本をどう見ていたか」。新選組が活躍した幕末日本を、最新の研究成果を踏まえて世界史的観点から語る。
<第1章「洛陽で斬る 京都の新選組15大事件」> 芹沢暗殺、池田屋事件、禁門の変、山南脱走、伊東分裂、膳所事件、油小路事件……。新選組をめぐる15事件の謎と真相を明らかにしながら、当時の京都の詳細マップで彼らの京での足跡をたどる。来春の大河ドラマ「青天を衝け」の主人公、渋沢栄一と新選組の交わりも取り上げた。
<第2章「内側を覗く 新選組大解剖」> 意外なことに新選組は近代的な組織だった。フランス軍制を模したというその組織、そして違反した者には切腹や血の粛清を強いた鉄の掟「局中御法度」。それらの由来と秘密を明らかにする。 他方、花街での隊士は人気者だった。彼らを取り巻く女性たち、隊内剣豪ナンバーワンは誰か、流派自慢、銘刀自慢、高リスク高収入憧れの就職先である新選組の隊士の給金と報奨金、美男五人衆、潜入する長州間者、意外な除隊制度、生き残った隊士たち……。豊富なミニコラムで、新選組の意外な実態を紹介する。
<第3章「名を刻む 落日の新選組」> 鳥羽伏見の戦いに敗れ堕ちていく隊士が転戦した戊辰戦争の軌跡。近藤亡き後を引き受けた土方歳三が関東小藩から兵力や武器を徴収して宇都宮城を官軍から奪還。軍才を顕した土方は隊士と会津戦を経て箱館五稜郭へ。この地で遂げた最期を描く。章末には主要隊士50人を取り上げた隊士事典を掲載。
<第4章「幕末を知る 19世紀の世界と日本」> 知っておくべき幕末史と世界の動きを5つのキーワードを通して解説する。「なぜペリーは日本をめざしたのか」「大老井伊直弼の狙い」「幕藩体制の再編プラン」「勝海舟らが推進した軍制改革」「倒幕に成功した雄藩の大改革」。知っているようで意外に知らない、こんな疑問から幕末史をわかりやすく説き起こす。
巻末にはブックガイドや年表も。折り込み付録は幕末の京都マップ。島津家久の上洛前後、池田屋事件の新選組ルート、新選組巡回ルートと志士たちの潜伏先などを収録。
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