7歳の少年ジーコには、秘密にしている夢がありました。 それは、サッカー選手になること。
サッカー選手であるお兄ちゃんを目標に、毎日けんめいに練習にはげみますが、なかなかじょうずになりません。
「いっぱいれんしゅうしてるのになあ。 おにいちゃんみたいに できない……」
あるとき、友だちといっしょにサッカーをしていたジーコ。 サッカーがうまくなりたい一心で、ボールを受け取るたびに、たったひとりでゴールを目指します。 友だちが、困った顔をしているのにも気づかないまま──
元プロサッカー選手で、ワールドカップ日本代表の元監督や、Jリーグ鹿島アントラーズのコーチとしても知られる、アルトゥール・アントゥネス・コインブラさん、愛称はジーコ。
選手として、指導者として、ジーコさんがその発展を支えてきた鹿島アントラーズには、とある伝統的な理念があります。 それが、「スピリット・オブ・ジーコ」。 この作品は、幻想的に描かれるジーコさんの少年時代を通じて、サッカーが強くなるために必要な哲学、スピリット・オブ・ジーコを伝える絵本です。
仲間にボールを預けることができず、やがてひとりになってしまった、ジーコ少年。 ある夜、そんな彼に、星と、月と、花が話しかけて、それぞれにたずねます。
「このせかいで いちばん あたたかなものは なんだと おもう?」 「このせかいで いちばん とうといものは なんだと おもうかい?」 「このせかいで いちばん うつくしいものは なあに?」
むずかしい問いに、とまどうジーコ。 それでも少年は、彼らとの神秘的な対話を通じて、自らの夢に力を与える三つの答えを得ることになるのですが──
「サッカーが強くなるためには、フィジカルやスキルだけでなく、心を育むことが大切」
そんなジーコさんの信念が込められた、幻想的ながら力強い1冊です。
(堀井拓馬 小説家)
ゆめをじつげんしたければ、いつのひか、ほんとうにそうなると、しんじなければなりません。 〔スピリット・オブ・ジーコ〕ジーコを強くし、ジーコが大切にしてきた3つのこと 本文ポルトガル語訳つき
サッカーがうまくなりたい一心でボールをチームメイトに回さないジーコ。やがて仲間は離れていき一人になって初めて、上達するために大切なことは何なのかを学びます。その少年時代を通して“スピリット・オブ・ジーコ”を伝える絵本。
■□■ジーコの言葉■□■
これは、ある子どもの夢についての絵本です。この子は、最初にやりたいと思ったこととはちがう目標に目ざめて、いろんなことを学んでいきます。そして、サッカーで、あるまちがいをしてしまいます。けれど、夢を通じてそれを直し、よくなっていきます。ぼくはこういうことが起きると、本当に信じています。だから、子どもたち、先生方にぜひ、この絵本を読んでいただきたいです。そして、この絵本が、みなさんの人生で役に立つことを願っています。 [ジーコ]
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