近代オカルティズムが「近代仏教」に与えたダイナミズムとは――。
欧米の自称「仏教徒」との交流、思想的バックボーンとしての神秘思想との接触――。「合理化」「脱呪術」を重視したかつての近代仏教史が見落としてきた重要な余白≠ェ、ここにはある。
ヘレナ・ブラヴァツキーが創始した神智学や、スウェーデンの神秘家スウェーデンボルグの思想をはじめとした〈秘教〉と〈仏教〉とを架橋し、研究へさらに肥沃な土壌を提供した著者による待望の単著!解題=碧海寿広
「二一世紀の現在に急速な勢いで展開する、近代仏教研究の新たな波。その大きな潮流を眺めながら、そこでのシンボルとなる人物は誰だろうかと考えてみる。そこでまっさきに思い浮かぶのが、吉永進一だ。……吉永進一を、いま目の前に広がる近代仏教の新たな波の、象徴的な人物だとする説には、一定の根拠がある。……彼の近代仏教研究のひとまずの集大成となる本書には、現在の近代仏教研究にとって重要なテーマの数々が、凝縮してつまっている」(本書「解題 吉田久一から吉永進一へ」より)
【目次】 序 章 似て非なる他者―近代仏教史における神智学―
T 神智学の歴史 第一章 チベット行きのゆっくりした船―アメリカ秘教運動における「東洋」像― 第二章 近代日本における神智学思想の歴史 第三章 明治期日本の知識人と神智学
U 仏教との交錯 第一章 仏教ネットワークの時代―明治二〇年代の伝道と交流― 第二章 オルコット去りし後―世紀の変わり目における神智学と新仏教徒=\ 第三章 平井金三、その生涯
V 霊性思想と近代日本 第一章 仏教雑誌のスウェーデンボルグ 第二章 大拙とスウェーデンボルグ―その歴史的背景― 第三章 らいてうの「天才」
終 章 神智学と仏教、マクガヴァンとその周辺
解題 吉田久一から吉永進一へ(碧海寿広)
初出一覧 あとがき
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