『バカの壁』で有名な解剖学者、養老孟司さんが、子どもたちに伝えたいメッセージを温かくやさしく語る作品です。実は昆虫好きの養老先生、子どもたちと昆虫採集に出かける筋立てで、生き物と自分の関わりを考えていきます。
きょうは、やまに いきましょう。 やまに いって、むしを さがすよ。 なにが いるのか、わかっていたら おもしろくないよ。 わからないから いくんです。
冒頭から、養老先生の語り口に魅了されます。周りの生き物たちの存在に気づき、観察し、発見する喜びを経験を交えて語ります。子どもの頃から、さらにさかのぼって、お母さんのお腹の中の卵の話題へ。そこからは、卵の成長から、子どもたちの成長へ。子どもたちへの質問も交え、生き物と自分の関わりを考えていきます。
「みんなも、たまごだったんだよ。」と、生き物たちと同じという感覚を実感させてくれる視点。そして、そこから湧き上がる自然と自分との関係。敢えて答えを語らず、みんなに考えさせてくれる養老先生が、子どもたちの科学の視点をそっと育んでくれるような作品です。
昆虫観察会で養老先生の助手を務めた横山寛多さんの絵は、ほのぼのと伸びやかな子どもたちの様子を描きます。たくさん描かれた生き物たちの一覧もあり、一緒に昆虫観察してみてはいかがでしょうか。
(中村康子 子どもの本コーディネーター)
「みんなも、たまごだったんだよ。とりや さかなや むしと おなじだね」 読んで、感じて、考える。子どもから大人まで、世界一わかりやすい養老孟司の本!
わたしたちをとりまく自然。そこにはたくさんの生きものがいます。 それらの生きものと自分とのかかわりを、先生と子どもたちが考えていきます。 ヒトと世界のかかわりを、『バカの壁』など多くの教養書でベストセラーを持つ養老孟司先生の語りかけと、のびのびとしたタッチに定評のある横山寛多氏のイラストで描く絵本です。 養老先生と子どもたちが昆虫採集に向かう、というストーリーの中に、養老先生の自然や人へのまなざしや、子どもたちに伝えたいエッセンスが、平易であたたかいことばでぎゅっと凝縮されています。 子どもから大人まで、すべての世代の方におすすめの、自分の人生を楽しむヒントと示唆に富んだ作品です。
|