落ちたいがぐりから飛び出た栗の3兄弟。兄弟思いの力持ちくりたろう、真面目で賢いくりじろう、そして末っ子泣き虫くりさぶろう。いつも仲良く遊びます。大好きなお相撲をするけれど、くりさぶろうは負けてばかり。
「えい!」
投げ飛ばされた勢いで、いがにはまったくりさぶろう。「いたい!こわい!」、いがをかぶればくりさぶろうは無敵。兄さんたちがあきれていると、向こうの方から大きな何かが近づいてきて……。
やってきたのは冬眠前のくまの親子。無敵のくりさぶろうは威勢よく立ち向かうのですが。
イラストレーターとしても大活躍する福田利之さんが生み出したのは、一目見て虜になってしまうほど、個性的なフォルムと表情の可愛い栗の3兄弟。こんなに楽しそうに遊んでいるけれど、彼らにとっては、生きることも死ぬことも隣り合わせ。どうしたら動物たちが冬を越せるのか、自分たち栗の木が命を絶やさずに生き続けるにはどうしたらいいのか、彼らは瞬時に判断し、行動していくのです。
子どもたちが読めば「どうして?」「兄さんたちはどうなるの?」そんな疑問がわいてくるのかもしれません。けれど栗の3兄弟は教えてくれます。
「そういうものなんですよ」
美味しい栗が味わえる季節が来たら。3兄弟のことを思い出しながら、また絵本を手に取ってみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
栗の3兄弟、“生命をつなぐ”珠玉の物語 仲良しの栗3兄弟は、今日も楽しく相撲をして遊んでいます。小さな体でいつも負けてしまう、末っ子の「くりさぶろう」ですが、ある時いがをかぶったら、棘が怖くて誰も敵いません。無敵になったくりさぶろうは、ある日、お腹を空かした熊の親子に出会いました。 さて3兄弟がとった行動とは?
|