幸福を運ぶもの。不幸を招くもの。古くから宝石には、逸話がつきもの。 そんな特別な宝石ばかりが集められたのが、魔石館。この場所には、温かな想いと共に、人の手をめぐって辿り着いた石もあれば、人間の手には負えないために持ち込まれた、邪悪な石もあります。 そして、宝石たちは今日も魔石館を訪れた人々に向け、秘密の物語を語って聞かせるのです。
貧しい家族を守るため、かつての友人から金を借りた、ロシアの青年イワン。しかし、その代わり貴族たちの集まるパーティーで道化に扮し、みなに笑われる役を演じるよう約束させられてしまう。 生き恥をさらすくらいならと命を断とうとしたイワンは、すんでのところで老婦人に救われる。 イワンは彼女に心のうちを明かしたが、イワンを見る老婦人のまなざしは、冷たく、厳しいものだった。 『アレキサンドライトー色変わりの道化師』
スペインの商人ペドロは、先住民インディオを軽蔑していた。あるとき立ち寄ったインディオの村で、村人にまつられている宝石の話を聞いたペドロは、なんの罪の意識もなくそれを盗んでしまう。 それからというもの、ペドロの身を小さな不幸が次々と襲う。ペドロはなんとか宝石を手放そうとするが、売ろうにも誰も買ってくれず、捨ててもなぜか手元にもどり、壊すことさえできなくて……。 『インカローズー盗まれたインディオの石』
ニューヨークから、イギリス、ロシアにペルーまで! 世界の様々な場所、時代でくり広げられる、ふしぎな魔力を持った宝石にまつわる物語を6編収録。著者は、大ヒットシリーズ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」で知られる廣嶋玲子さんです。
各話の最後には、その物語であつかわれた宝石について、性質、伝承、宝石言葉などが解説されています。 「高貴」の宝石言葉を持つアレキサンドライトを手に入れたのは、恥をかくことを約束させられたイワン。「バラ色の人生」を意味するインカローズを盗んだのは、インディオを差別するペドロ。 彼らははたして、その宝石言葉にふさわしい結末を迎えることができるのでしょうか?
人々を救い、ときに狂わせる、美しくも妖しい魔石たちの物語です。
(堀井拓馬 小説家)
学校でファンが急増中! 「銭天堂」の作者・廣嶋玲子が描く宝石好きに贈るシリーズ、第4弾! 石とはふしぎなものでございますね。あるものはきらめき、あるものはしっとりと艶をおび、またあるものは秘密をいだいている……魔石館の石たちはそうしたものばかり。どうか、彼らの物語をお聞きください。 ★ブラッドストーン――ドラゴンの卵 大好きなおじいちゃんから、ドラゴンの卵を託されたマックスは…… ★ラリマー――カリブ海の宝石 仕事につかれきったマーサは、水色の石のネックレスにひきつけられ…… ★ガーデンクオーツ――魂の宿り木 空想世界が好きなヨハンナは、叔父から水晶を贈られて…… ★アレキサンドライト――色変わりの道化師 ロシアの青年・ビクトルは、大金持ちに借金のお願いをするのだが…… ★インカローズ――盗まれたインディオの石 インディオに傲慢にふるまうスペイン人・ペドロは、村に宝石があると知り…… ★サファイア――青の魔性 「呪われたサファイア」と呼ばれるようになったのは…… 美しく、神秘的で、魅力と秘密にあふれた石たちの知られざる物語を6話収録。
短編集で、シリーズものですが、どれから読んでも問題ないです。
ドラゴンの卵の話もとても好きですし、アレキサンドライトの話、ラリマーのネックレスに出会う弁護士さんの話など時代も国も様々ですが、どれも面白い話ばかり!
インカローズのお話もオチが面白いですね。
子どもだけじゃなく大人も楽しめる!というか、子どもより私の方が楽しんじゃってます。 (lunaさん 30代・ママ 男の子13歳)
|