古代より多くの自然哲学者や理論家が、 数と幾何学と比の値の関係の中に 宇宙の調和を見出そうとしてきた。
そのなかでもとくに有名なものが、 古代ギリシャから研究されてきた 〈黄金比〉であるが、 この本ではもうひとつの隠された知恵 〈ダイアグラム〉を紹介する。
哲学者ボエティウスの作 とも言われる『幾何学』の中に、 ピタゴラス学派が用いた 「数と音の比を線と幾何学的演算で 表わした図(diagramma)」 についての説明がある。
正方形を使って〈ダイアグラム〉を作るには、 8本の半対角線 (頂点から対辺の中点に引いた直線) を描けばよい。 これらの半対角線が互いに交わることで、 多くの調和的分割が現れる。
本書では、 この不思議な星形の図の謎と 古代の建築や芸術との関係を 明らかにしてゆく。
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