人種資本主義(レイシャル・キャピタリズム)とは何か
大西洋奴隷貿易と奴隷制、植民地主義はいかに資本主義の土台となったのか――ブラック・マルクシズム、ジェンダー、エコロジーの視座を取り入れ、不均衡な経済発展、環境問題、国境化、再生産労働の現場等、数々の事例を分析。浮かび上がるのは、現代の世界システムを分析するうえで最も重要な概念、「レイシャル・キャピタリズム」の輪郭である。
多様なマーケティングに消費者として巻き込まれつつ、私たちはなにに加担しているのか。なぜ一部の人間だけが犠牲になるようなレイシズムがいまなお蔓延っているのか。レイシズムの謎を解く鍵は人間本性ではなく資本主義にあることを喝破する、理論の書。
「レイシャル・キャピタリズムとは、資本主義の発展にとっての重要な局面におけるレイシズムの役割を理解する方法である。レイシストの陰謀として資本主義を理解したり、資本主義の陰謀としてレイシズムを理解したりすることではない。(…)我々が理解しようとしているのは、資本主義の形成における特定の段階、何よりも今現在における人種化の現場である」(本文より)
◎目次 緒言 小笠原博毅
イントロダクション レイシャル・キャピタリズムをめぐる一〇のテーゼ
第1章始まり 第2章社会的再生産――ジェンダー、レイシズム、自然 第3章暴力の歴史、トラウマの遺産 第4章何がレイシャル・キャピタリズムで何がそうではないのか 第5章領土と国境、レイシャル・キャピタリズム、そして危機にある主権 第6章消費と負債 第7章おわりに――産業予備軍に加わらないということについて
訳者解題 参考文献 索引
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