日本のシェイクスピア研究の最前線
1961年に創立され、今年で創立60年を迎える日本シェイクスピア協会の最新論文集です。ベテランから若手までの12名の寄稿者を迎え、シェイクスピアを中心とするエリザベス朝演劇や、シェイクスピアの日本での受容や翻案までを論じています。「還暦」を迎えた同協会は、シェイクスピアとの対話と往還を長年続けてきましたが、この新しい論集でも、丁寧なテクスト読解を堅持しながら、シェイクスピアとの「往還」の新しいかたちを提案しています。
<目次> I 杉浦裕子 "Hark, who is’t that knocks?" ――『オセロー』四幕三場のノックの音についての一考察 松田幸子 「母とは呼べない、もはや墓場だ」 ――『マクベス』と死せるスコットランド 前原澄子 『お気に召すまま』における修辞のパロディ 五十嵐博久 『尺には尺を』における権力とエクイティ 篠崎 実 「嘆かわしい一幕」 ――『リチャード二世』検閲説をめぐって 森祐希子 植物誌・園芸書と『リチャード二世』の庭 鶴田 学 イングランド中部地方から読み解く『ジョン王』
II 佐野髢 シェイクスピアを諷刺する ――パルナッソス劇と世紀転換期の諷刺文化 河合祥一郎 シェイクスピア初期版本の話者表示(speech-prefix) 英 知明 ある詩人のファースト・フォリオ ―― 一七世紀の旧蔵本 内丸公平 シェイクスピアを教える夏目漱石 ――「マクベスの幽霊に就て」から「坪内博士と『ハムレット』」へ 川野真樹子 二人の「オフィーリア」 ――堀正旗『ハムレツト現代に生きなば』(一九三〇)における女性像
|