清水寺、南禅寺、伏見稲荷大社、上賀茂神社、金閣寺、銀閣寺…… 一度は訪れたことがある京都の名所も、 歴史や逸話を知ってから再訪すると、違った魅力を発見できて、奥深いもの。 京都のカリスマ案内人柏井壽が、京都の名所の、誰も知らない愉しみ方を紹介します。
************************** 定番中の定番、名所中の名所、京都を旅するならまずはここから、と言われる スポットは、どうしてもワンパターンになりがちです。
たとえば「清水寺」だと舞台にあがって、そこからの写真を撮る。 あるいは奥から舞台の写真を撮る。 それでもう「清水寺」はよく分かったと思ってしまいがちです。
あるいは「金閣寺」もそうですね。池の奥に建つ金閣に目を奪われ、 ほかの見どころをスルーしてしまうのは、なんとももったいない話です。
というわけで、本書は定番とも王道ともいえる名所を、 少し違った角度からご紹介しようと思います。
舞台だけでなく、こんな「清水寺」の見方がありますよ。 「金閣寺」には金色に輝く楼閣だけでなく、 こんなところもしっかり見てくださいね。そんな話です。
もうひとつ。名所の名所たるゆえんを、 エピソードを交えてご紹介するのも本書のポイントです。 名所にはかならず物語があります。
さらには「金閣寺」に対する「銀閣寺」、「清水寺」に対する「平安神宮」というように、 名所を対比させながらご紹介するのも、新たな試みのひとつです。
そしてそれら名所の近くにあるおいしいお店も併せて記しておきますので、 名所のあとさきにお愉しみいただければ幸いです。 お店の多くがコロナ禍以前に訪ねた記憶をたどって書いております。 コロナ禍によって様変わりしたお店もなかにはあるかと思いますので、 その点はご容赦ください。
二十の名所と六十軒のおいしいお店を組み合わせれば、 きっと愉しく充実した京都旅になるものと確信しています。 「清水寺も金閣寺ももう行きましたよ」そうおっしゃる方にこそ、 ぜひもう一度足を運んでいただきたい。そして、こんな見どころもあったのか、 こんな物語があったのかと再認識していただければうれしいです。
(はじめにより)
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