安政七年三月三日、井伊の密偵・可寿江は水戸浪士の不穏な動きを察知し、主君でかつての恋人でもあった直弼に通報しようとするが……。長い一日、最期の一日、決定的な一日……。「桜田門外の変」「箕輪心中」など実際の事件を背景に、江戸市中で懸命に生きる人々の、人生を揺さぶった運命の一日を描く、連作時代小説集。 再刊にあたり、赤穂浪士討ち入りの日の上杉家を題材にした書き下ろしの一篇を収録する。 第24回吉川英治文学新人賞受賞作。 目次……「立つ鳥」「蛙(かわず)」「小の虫」「釜中(ふちゅう)の魚」「首鼠両端(しゅそりょうたん)」
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