海が大好きで、365日海のことを考え、250日は海のなかという水中写真家、高久至さんが今回取り上げるのは、気になって仕方がないというコブシメ。 下から見たアングルは、UFO?潜水艇?いえいえ、あしが10本の……。そう、イカの仲間なのです。さあ、最大で体長50センチメートルにもなる大型のイカ、コブシメの魅力を、美しい写真で体感してみましょう。
まずはその変身術。まるで忍者のように、体の形や色を瞬時に変えるのですが、まるで別の生き物みたいな様子に驚きの連続です。次に、産卵の様子。繁殖をめぐってのオス同士の戦いでは、変身術も使いながらのシーンが圧巻です。そして、サンゴへの産卵。孵化のシーンではサンゴの産卵とのコラボという貴重なシーンも。もちろん、かわいい赤ちゃんの姿も見逃せません。
高久至さんの語りは、コブシメの魅力、海の生き物の生きる世界をナビゲート。このユニークなイカのこと、誰かに話したくなるかも。
(中村康子 子どもの本コーディネーター)
高久さんのとっても気になる存在は、大きなイカのコブシメ 。UFOのような不思議な姿、色形が自在に変わる忍者のような体。ずっと姿を追ううち、初夏のある夜、サンゴの産卵とともに愛らしい赤ちゃんが誕生します。
コブシメのすがたは、よく想像するイカとは少し変わっていて、楕円形で、腕足は短く、UFO?と思ってしまうようなユーモラスなすがたです。からだの色や形を、まわりにあわせてよく変化させる擬態名人でもあります。 世界中に生息する約120種類ものコウイカ科のイカ類の中で、コブシメは最大級の大きさで、胴体の長さは50cm以上になります。コブシメの産卵期は冬、イシサンゴのなかまに直径3cmほどの卵嚢を産卵します。本書では、産卵に集まっているコブシメたちのダイナミックな婚姻。そして高久さんが出会ったコブシメの孵化と同時に起こったサンゴの産卵の美しさを軸に、コブシメのふしぎな生態や、かわいらしい赤ちゃんを紹介します。
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