怨霊都市・平安京を護るスーパー陰陽師・安倍晴明。そのイメージはどのようにして生まれたのか。平安時代に一官人として生きた晴明が、『今昔物語集』などの中世説話、近世の「狐の子伝説」、歌舞伎、近代から現代にいたる伝奇小説、そしてマンガ・映画・アニメでは美貌の貴公子へと、時代と世相にあわせて刻々と変貌していく「晴明現象」を追い、人々が晴明に何を求め、何を託したのかを探る好著。
【目次】 少し長いプロローグ――「せーめーさん」詣で 第一章 それは『帝都物語』から始まった 1 平成晴明ブームの裏側 2 陰陽師の末裔 3 実像と虚像のはざまで 4 「ホントの晴明」なんていらない 第二章 院政期における「晴明現象」 1 「晴明現象」とは? 2 院政期の晴明イメージ 3 吉備真備という人 4 安倍家の祖 5 院政期と禁忌の世界 6 命の祭り代え 第三章 近世初期の晴明――狐の母の物語 1 安倍晴明は狐の子? 2 狐の女への郷愁 3 棄てられた子という宿命 4 差別された人々と晴明 第四章 平安京は「四神相応の地」か 1 平安京は「風水都市」か 2 風水とはどのような思想か 3 「四神相応の地」を検証する 4 建都伝説 第五章 時代のなかの晴明 1 晴明の事跡と平安中期の世相 2 王朝文学にみえる陰陽師 3 賀茂光栄と晴明 第六章 晴明の「敵役」たち 1 晴明はなぜ闘うのか 2 悪人・蘆屋道満の成立 3 夢枕獏氏の小説における道満 4 その他の敵役 第七章 近代・現代文学における晴明イメージの変転 1 江戸時代のくびきを離れて 2 昭和の晴明小説 3 美貌の貴公子? エピローグ
あとがき 参考文献 あとがきに代えて 索引
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