近世は儒教の時代であり、幕藩体制に取り込まれた仏教は自由を失って形式化し、堕落した――。このような「近世仏教堕落論」が俗説として克服された今日に、多様で複雑な近世仏教思想の〈特質〉と〈画期性〉、そして〈魅力〉を探るための論点を提示。
仏教の教理教学のみではなく、文学作品や西洋人の仏教理解なども視野に収めつつ、儒教や国学・神道などを含めた近世思想全体において、仏教がいかなる位置を占めていたのかを問い直す。
************* じつは近世の仏教は豊かな創造力を持ち、さまざまな領域に寄与し、新鮮で価値高い多くの遺産が遺されている。その点で、儒教や国学・神道に引けを取るものではない。(本書「はじめに」より) *************
【目次】 はじめに 第一章 近世思想と仏教 第二章 仏教と諸思想の交流 第三章 近世中期の仏教研究──鳳潭を中心に 第四章 女性と仏教 第五章 近世仏伝の世界 第六章 欧米に伝わった近世仏教 第七章 近世から近代へ 初出一覧/あとがき/索 引
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