いっそうの船に、年老いたねこが乗っていました。 ねこの名前はアル。 ねずみとりのために乗せられたねこでしたが、今では船で一番の古株で、自分のことを船長だと思いこんでいます。
ある嵐の夜のこと、沖で船がざしょうしてしまいます。 船員たちが必死で水をかきだす中、うごけるのは自分だけと、アルは助けを呼ぶために嵐の海に飛び込みます。 はげしい波の中、必死に泳ぎますが、ついに力尽き、アルは海の底へと沈んでいきますーー。 その目からこぼれ落ちた涙が、マングローブの根に届いた時、海の中からボノロンがあらわれます。
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