蒙古襲来は、異民族による大々的な侵攻として日本史上他に例をみない大事件であった。 「信仰は時代に生きる指針だ」とした日?にとって、蒙古問題はその教説の展開に本質をかけた課題であった。 日?は、蒙古問題を軸にした自己の教説を社会化したのである。 宗教的な面から、敵国降伏を祈ることには、たしかに疑問も残るであろう。 しかし、『法華経』至上主義の立場から「国心」を統一し、「国難」に対処しようとした努力は、ある意味で今日の日本を形づくっているともいえる。 本書は、蒙古襲来を通して、日?の宗教精神を克明に物語っている。
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