普通の人びとは、なぜ暴力という手段を選び集団の力を行使したのか。また被害と加害が同居する地域社会で、それはいかに記憶・記録され語られていったのか。時代・地域を超えて、民衆の矛盾を含んだ多様な側面を描き出す。
[目次]
総論 今、歴史学の領域から民衆暴力を問うことの意味(須田努) 第?部 宗教・思想を背景とした民衆暴力 一 天狗党との関係から見た在地社会の暴力(須田努) 二 カオダイ教の勃興とナショナリズム――一九二〇?四〇年代、ベトナム南部の宗教運動(武内房司) 三 フランス革命期モージュ農村社会とジャック・カトリノ――内面的思索の醸成から自律的行動の萌芽へ(大峰真理) 四 現代の民衆運動における暴力の位相――三里塚闘争を事例にして(中嶋久人) 五 ブレグジット以降の北アイルランド情勢(崎山直樹) 第?部 地域社会内部で発動される民衆暴力 一 周防大島における明治維新の記憶――「四境の役」の語られ方(宮間純一) 二 近文アイヌ給与予定地事件と和人社会(檜皮瑞樹) 三 コザ暴動と秩序のグラディエーション――基地の街の平穏と暴力をめぐって(高江洲昌哉) 四 衡平社の誕生と反衡平運動の論理(趙景達)
第?部 民衆暴力をめぐる表象・言説 一 浄瑠璃・歌舞伎から見る暴力とジェンダー――見える暴力から隠蔽される暴力へ(中臺希実) 二 「惨殺」という演出――芝居に描かれた真土村事件(伊藤俊介) 三 戦後日本における家庭内暴力――新聞メディアに見出される家庭内暴力表象を通して(石田沙織) 四 現代日本に於ける朝鮮人への差別・暴力と歴史認識(加藤圭木)
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