◆第一句集
トランクを食卓にして青葡萄
旅情を感じさせるとともに、作者が冒険的な旅を楽しんでいる様子が伝わってくる。 異文化ばかりでなく、音楽、文学、演劇など、さまざまな芸術に関心を寄せてきた。それが、作者の作句の土壌になっている。
序より・藤田直子
◆自選十二句 シェイクスピア観て夏至の夜を言祝ぎぬ 秋高し河北の子らと楡植ゑて 長き夜の文芸論から組織論 秋の雨指が憶えてゐるショパン 辺境を旅する夢やハンモック トランクを食卓にして青葡萄 海硝子(シーグラス)拾ふひるがほ閉づるまで 終はりとは始まりであり絵双六 ティンパニに頬寄す冬を告ぐる前 人類史に残らぬひと日ピクニック 近況報告虹の写真を送り合ひ 流星や己が書店を持つ夢も
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